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欧州

2025.01.21 09:30

FPVドローンがなおウクライナ最強の「戦車キラー」である理由

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注目すべきは、これらの撃破はどれも防御陣地周辺で行われたものではなかったという点だ。ロシア軍の戦車は攻撃に出ていて、壕設置型のジャマーなど静的な電子戦システムによる防護傘から外れていた。

これは、ジャミング(電波妨害)は防御には有効であっても、攻撃部隊は守れていないことを示唆する。さらに、ウクライナ側がジャミング不可能な光ファイバー誘導ドローンの数を増やしていることも考え合わせると、FPVドローンによる戦車の撃破はさらに増えていく可能性がある。短い成功期間だったのは、FPVドローンではなくジャマーだったのかもしれない。

T-90Mに施されているアップグレードに関して言えば、それによって救われた戦車もあったかもしれないが、確たる証拠はない。Oryxのウェブサイトで2024年10〜12月、損傷したが撃破はされていないT-90Mの記録がないことからも、防護の強化がT-90Mの損害軽減につながったわけではないことがうかがえる。

これはむしろ、戦車を撃破するにはFPVドローンが数機必要かもしれない半面、いったん撃破プロセスが始まると、それを完了するのに十分な数のFPVドローンが常にあることを示唆する。現在確認できるところでは、T-90Mの追加装備で車両を十分守れるものはない。ウエディングケーキのような3段装甲(「ツァーのバーベキュー」などとも呼ばれる)を上部に積み重ね、複数のジャマーを搭載したT-90Mですら、小型ドローンの犠牲になっている
西側製戦車は、たしかに乗員の生存率ははるかに高いものの、攻撃への耐性はそれほど大きく変わるわけではない。ウクライナ軍は最近、米国製M1エイブラムス戦車1両がロシア側の手に渡るのを防ぐため、それを破壊処分せざるを得なくなったが、そのために用いたのはFPVドローンだった。

これらはすべて、FPVドローンが戦車の撃破で中心的な役割を果たしていく可能性が高いことを示している。ウクライナ軍のあるドローン操縦士も英陸軍の雑誌「ブリティッシュ・アーミー・レビュー」2024年冬号への寄稿で、FPVドローンは「ウクライナ軍の主要な対戦車兵器になっていると言える」と書いており、数字はそれを裏づけている。

ウクライナがさらに多くのFPVドローンを製造し、それに光ファイバー誘導キットやAI(人工知能)による目標追尾機能を搭載するにつれて、2025年にはFPVドローンがさらに優位になっていくかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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