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欧州

2025.01.21 09:30

FPVドローンがなおウクライナ最強の「戦車キラー」である理由

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まとめると、この3カ月間に撃破が確認されたT-90M10両のうち、5両は確実にFPVドローン、1両はもしかするとFPVドローン、2両は爆撃ドローン、1両はスイッチブレード、1両は対戦車地雷によるものだったということになる。言い換えると、撃破を達成した兵器の50%はFPV、20%は爆撃機、20%はその他で、10%は不明だった。もちろん、この結果を裏づけるにはさらに広範な調査が必要になるが、この結果がある方向性を強く指し示しているのは確かだ。

T-90Mを撃破した兵器でFPVドローンが占める割合は、1年前に行った前回の調査では50%に満たなかったので、今回のほうがむしろ高くなっている。少なくとも、FPVドローンは現在、ほかのすべての兵器を合わせたのと同じくらい、多くのT-90Mを撃破していると言うことができる。

進化を続けるドローン

これらのT-90Mの一部は、先に別の兵器による攻撃で損傷したり、行動不能に陥ったりしていたのではないかという疑問もあるが、これを確かめるのは不可能だ。ただ、撃破されたT-90Mのそばに砲弾のクレーターは見当たらないので、砲撃を受けていた可能性は低そうだ。

ロシア西部クルスク州で戦っているウクライナ海兵隊のドローン操縦士、Kriegsforscher(クリークスフォルシャー)は、自身の部隊が配置されている正面では、敵の装甲車両は主に対戦車ミサイルと地雷で止められていると説明している。多くはそのあとにFPVドローンによってとどめを刺されるが、走行中にFPVドローンで直接撃破される車両は全体の10〜15%にすぎないという。ほかの前線でも同様なのかは不明だが、一考に値する報告だ。

上記の撃破例では、交戦開始時点で走行していた車両もあれば、停止していたがハッチは閉じられたままだった車両もある。ロシア軍の戦車兵は普通、脱出した場合はハッチを開いたままにするので、ハッチが閉まっていたというのは乗員が車内にとどまっていたことを示唆する。一方で、遺棄されていたらしい車両もあった。
撃破例の一部に対戦車ミサイルなどFPVドローン以外の兵器が関与していた可能性もあるが、それを裏づけるにはさらなる証拠が必要になる。いずれにせよ、FPVドローンによるフォローアップの攻撃が必要だった場合は、ミサイルや地雷だけが撃破の原因でなかったのは明らかだ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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