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欧州

2025.01.21 09:30

FPVドローンがなおウクライナ最強の「戦車キラー」である理由

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一方、T-90Mが明らかにFPVドローンではなく爆撃ドローンで仕留められた例は、11月4日12月16日の2件ある。爆弾の大きさから、攻撃の主はウクライナ軍の「バーバ・ヤハー」重爆撃ドローンとわかる(編集注:スラブ民話に登場する魔女「ヤガー婆さん」に由来するこの呼称は、元はロシア側でつけられたとされる。ロシア語読みでは「バーバ・ヤガー」。ウクライナで「ヴァンパイア(吸血鬼)」と呼ばれている機種などが含まれる)。

11月13日に撃破されたT-90Mは、もっと変わった運命をたどった。単純な運転ミスだったようだが、このT-90Mは対戦車壕とみられる溝に沿って走っている途中、縁を乗り越えてしまい、溝の中でひっくり返った。ほどなくしてFPVドローン2機を被弾した。装甲の薄い車体腹部というめったにお目にかかれない箇所を狙える好機を捉えた、FPVドローンによるれっきとした撃破だった。
最も劇的な破壊は11月22日にあった。このT-90Mは、内部に収納されている弾薬の誘爆で砲塔が空中高くに吹き飛ぶ「砲塔トス」を引き起こしている。砲塔トスは、旧ソ連製の古いT系統の戦車が被弾した際に、もっとよく見られる現象だ。Oryxの画像は爆発後の戦車の様子を捉えたもので、爆発を引き起こした当のものは確認できない。

だが、ウクライナ当局が数日後に公開した映像から、このT-90Mを撃破したのは、米国から供与されたスイッチブレード600自爆ドローン(徘徊型弾薬)だったことが明らかになっている。映像(0:02〜0:05あたり)に映り込んでいる回転翼から、この映像がFPVドローンによって至近距離から撮影されたものだったこともわかる。FPVドローンは、攻撃結果を確認したり、とどめを刺したりするためにチームで運用されるのが普通だ。このFPVドローンの場合、別のFPVドローンではなく、スイッチブレードを追尾していたもようだ。
11月17日に撃破されたT-90Mは、Oryxの画像には原因について知る手がかりがないものの、やはりWarSpottingの一連の画像から、1機ないし数機のFPVドローンで撃破されていたことがわかる。

最後に、12月27日に記録されたT-90Mは履帯を失っており、対戦車地雷を踏んだことが強く示唆される。この戦車のほかの損傷を引き起こしたのも同じ地雷だった可能性もあるし、あるいは続いて攻撃を受けた可能性もある。しかし、追加の情報はない。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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