こうした環境下で、FPVドローンがT-90Mのような目標を攻撃する場合、撃破率は低下するように思われる。それよりは、対戦車ミサイルや無誘導ロケット弾、大砲、戦車など、在来型兵器のほうが撃破率は高くなりそうである。
だが、データが示している実態は違う。
撃破10例の内訳
オランダのOSINT（オープンソース・インテリジェンス）サイト「Oryx（オリックス）」の倦むことを知らないアナリストたちは2024年10〜12月、撃破されたT-90Mを10両、視覚的に確認した。この数字は別のアナリストグループ、Warspottingによって確認されている。記録されていない損害がほかにもある可能性はあるが、戦車が撃破されるのはたいてい前線付近であることや、数が少ないT-90Mは目を引きやすいということを考慮すると、これでほとんどはカウントされているだろう。Oryxが記録している画像のなかには、10月に撮影されたある画像のように、T-90Mを撃破したのがFPVドローンだとはっきりわかるものもある。低空で戦車の至近距離から撮影されている点や、偵察機などではなくFPVドローンに特徴的な操縦士ディスプレーの表示がその証拠だ。このケースでは、攻撃の一部始終とその結果を映した元の映像がYouTubeで公開されているので、それによって裏づけをとることもできる。
10月29日に撃破された別のT-90Mの画像はもう少しわかりにくいものの、WarSpottingが掲載している一連の画像から、撃破したのがウクライナ軍のFPVドローンだったことが確認できる。11月11日に撃破されたT-90Mも、Oryxの画像では原因がいまいち不明だが、やはりWarSpottingに掲載されているより数の多い画像によって、FPVドローンの犠牲になっていたことが判明する。
10月24日に記録されたT-90M撃破の画像も似たような角度から撮影されている。FPVドローンが砲塔に直撃した可能性が高いが、確認はできない。したがって、この例ではFPVドローンによる撃破というのは可能性にとどまる。
