ジオソーシャルで公平な社会をつくる
見た目はシンプルだ。アプリの地図上に、建造物などをデジタル化したサイバートロフィーを配置する。現実世界でその場所に行くと、アプリ上にトロフィーが現れる。「トロフィーを集める」ボタンを押すと、獲得した場所と時刻が記録されたトロフィーがコレクションに追加される。トロフィーを通じてほかのユーザーとコメントを共有したりすることもできる。この仕組みを活用してユーザーに実世界での行動変容を促し、健康促進や社会貢献活動への参加などを後押しするのがコンティニュウムの狙いだ。アプリを使って現実世界を探索し、場所の感想などを書き込むだけなら従来のアプリゲームやSNSでもできる。サイバートロフィーはどこが違うのか。コンティニュウム日本代表の泉征弥は言う。
「サイバートロフィーを使えば、ユーザーが間違いなくその場にいたという事実をブロックチェーン上で証明できる。フェイクデータや、データの所有権の問題も解決できるところがWeb3の強みです」
ブロックチェーンを使って人や物の動きを正確に把握する。Web3とジオソーシャルのかけ合わせは、労働実態の把握や物資の受け渡し、推し活など、さまざまなシーンで応用できる可能性がある。
具体例をあげよう。泉は産業向けブロックチェーンプラットフォームの日本代表を務めていた時期に1年弱、JICA(国際協力機構)やデロイトトーマツコンサルティングと共同で、コートジボワールで児童労働をなくすための実証実験に取り組んだ。ブロックチェーンを使って開発したアプリに、子どもたちが通う学校と農家グループがそれぞれ「児童が来たかどうか」を入力する。
双方のデータを突き合わせて申請内容に齟齬がないかどうかを確認し、正確に申請した学校や農家にはアプリ経由でポイントを付与した。データの改ざんができず、関係者全員が正確な情報を同時に共有できるというブロックチェーンの特徴を生かした試みだ。
ポイント獲得数や児童の学校出席率が高く、児童労働の発生率が低い農家グループにはカカオの買い取り価格を上乗せした。すると、農家グループの申請率は100%、小学校教師の申請率は95.6%と高い水準を記録し、複数のステークホルダーに協力を仰ぐことができた。
「ブロックチェーンを使ったアプリが人々の行動を変えるきっかけとしても機能した。Web3の新たな可能性も示すことができたと考えています」
コンティニュウムの、Web3を使ったインパクト創出の動きは加速している。24年11月には、大阪大学の木多研究室やせんりプラットフォームとともに大阪・千里地域で新規プロジェクトを始動すると発表した。地域の商業施設や防災拠点などに設置したトロフィーを通じて、地域内のリアルなつながりの構築を促す。一部の商店街ではトロフィーを割引クーポンとして使いながら、新たな地域循環型経済システムの構築を模索していく。
さらに、ユーザーにはトロフィーを獲得するたびにポイントが付与される。このポイントは、将来的にはトークンに交換できるようになる見通しだという。地域に貢献するほどブロックチェーン上に「貢献の証明」が残り、利益が還元される。コンティニュウムが目指す、Web3ならではの地域活性化モデルだ。
「コミュニティの本質は公平性と参加にあります。Web3を活用して皆が公平に扱われ、地域に貢献した人は直接リワードを得られる仕掛けをつくりたい」


