ロゴが思想を表すなら、ホームページはサカナAIそのものを表す。研究発表と求人募集しかない簡素な作りだ。何をしている会社なのか?
「サカナAIは、デイビッド・ハとライオン・ジョーンズという2人の研究トップが、専門分野をもつ“教授”を率いる研究所です」と、伊藤は説明する。ハとジョーンズの役割は、AI業界のトレンドを分析し、社会インパクトが大きく、技術的革新性が高いと評価された研究テーマを特定すること。そのテーマに最適な世界トップクラスの研究者を招聘し、予算を与えて研究を促すことだ。創業者たちは、ジョーンズがコア技術の研究、ハが研究全体のオーケストレーション、伊藤がそれ以外の営業から戦略まですべてを担当する、というふうに役割分担をしている。シードとシリーズAを主導したLuxのブランドン・リーブスは、ハを「創造者」、ジョーンズを「預言者」、伊藤を「戦略家」に喩える。
「サカナAIは、トヨタやソニーのような世界的企業へ成長する可能性を秘めていると確信しています」(リーブス)
サカナAIは、研究成果を発表し続けることで、「AIの半歩先の未来」を世界に伝える先駆者の役割を果たしたいという。これがどういうことかを知るためにも、AIの現在地と、起業の決め手になった問題意識について説明したい。(続きは1月24日発売「Forbes JAPAN 2025年3月号」でご覧ください。)

サカナAI◎2023年創業、東京に本社を置く人工知能(AI)の研究・開発(R&D)企業。創業者はデイビッド・ハ(CEO)、ライオン・ジョーンズ(CTO)、伊藤 錬(COO)の3人。24年9月にシリーズAで約300億円を調達。評価額2250億円で日本最速の“ユニコーン(評価額が10億ドル以上の未上場企業)”へと成長した。