これまでの代表作から未発表作品までを含む没入型・体験型サウンド・インスタレーション作品10点余りが、美術館の屋内外の空間にダイナミックに並ぶ。
日本初、最大規模の個展
日本を代表する世界的な音楽家、坂本龍一。素晴らしい楽曲を数多く生んできただけでなく、さまざまなアプローチで“音”の可能性を追求してきたアーティストでもあった。90年代からはマルチメディアを駆使したライブパフォーマンスを展開、2000年代にはさまざまなアーティストとのコラボレーションを通して、音を空間に立体的に設置する「設置音楽」の実験的な試みを積極的に行ってきた。
日本で最大規模となる本展覧会では、生前、坂本が東京都現代美術館のために遺していた展覧会の構想を軸に、2000年代に発表されたアーティストとのコラボレーション作品や新作とともに、音と時間が生み出す創造と体験の世界へと導く。
展示のコラボレーション・アーティストは、高谷史郎(ダムタイプ)、真鍋大度(ライゾマティクス)、カールステン・ニコライ(アーティスト)、アピチャッポン・ウィーラセタクン(映画監督・アーティスト)、Zakkubalan(映画監督・アーティスト)、岩井俊雄(メディアアーティスト)。
屋外のサンクン・ガーデンでは、“霧のアーティスト”の異名を持つ中谷芙二子とのスペシャル・コラボレーション作品も展示される。暗い展示室でiPhoneとiPadに目を凝らしたり、高く天井を見上げたり、霧を全身に感じたり……各アーティストとの協働で生まれた音と時間の作品を体感する個展だ。
会期中には参加作家によるトークイベントなど関連プログラムも開催予定。2025年2月発売予定の展覧会公式図録には、展示空間を想起させる会場写真やアーティストから寄せられたコメントやエッセイなども収録されるという。従来の音楽や美術の鑑賞とは異なる「音を視る、時を聴く」という時間。坂本龍一が歩んだ軌跡を辿りながら、彼が追求した音と空間の芸術的挑戦と、時間とは何かという深い問いは、見る者に新しい気づきを与えてくれる。



