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経営・戦略

2025.01.21 09:15

日本企業が気になるトランプ効果 トランプ2.0、賃上げ、金利

帝国データバンク/プレスリリースより

帝国データバンク/プレスリリースより

アメリカ大統領就任、日銀政策発表と、2025年の幕開けは世界を大きく揺るがすイベントが目白押しだ。円安や物価上昇によるコスト増加、中小企業の収益悪化、人手不足など克服すべき課題が待ち受ける中で、日本の企業はどのような未来を予測しているのか。帝国データバンクが実施した「2025年の注目キーワード」に関する調査の結果、今年のキーワードとして「トランプ2.0」をあげた企業が9割近くに達し、海外取引の有無に関わらず多くの企業でトランプ政権の政策による影響に注目が集まった。
 
 
【アンケート期間】2025年1月10日~15日
【有効回答企業数】1,805社(インターネット調査)

トランプ政権が与える日本企業への影響

調査の結果、2025年の注目キーワードとしてもっとも多くの企業が挙げたのは「トランプ2.0」(87.4%)だった。第2次トランプ政権の政策がグローバル経済に与える影響が懸念されており、「関税引き上げによる自社メキシコ法人への影響を危惧している」(鉄鋼業)、「中国との関係がどうなるのか、世界経済が混乱するのではないか」(運輸業)といった不安の声があがった。

 
次いで、「値上げ」(80.9%)と「賃上げ」(74.8%)というキーワードが注目を集めた。「昨年に引き続き、原材料の値上げ分を価格転嫁できなくて採算が厳しい状況」(繊維・繊維製品・服飾品製造)や「賃上げ圧力の強まりによるコスト負担の増加は中小企業にとって会社の存続に関わる問題」(不動産)という厳しい意見がある一方で、「値上げが進むとともに賃上げが実施され、実質賃金も上がる好循環を期待している」(医療・福祉・保健衛生)といった、値上げ・賃上げに対する前向きな意見もあった。
 
「人手不足」(70.0%)や「円安インフレ」(57.1%)も重要なキーワードとしてあがり、これらは賃金や物価の動向が企業経営に直結していることを示している。「市場状況が良いので人材登用を強化したいが、なかなか良い人材が来ず人手不足の状態」(機械・器具卸売)、「中小企業として切羽詰まっていることは、間違いなく人手不足、賃上げ、物価高騰に尽きると考える」(建設)、「円安にともなう物価の上昇なども懸念される」(運輸・倉庫)など、展望と課題のジレンマに陥っている企業も多いようだ

また、技術革新の象徴として「生成AI」(52.0%)が6位にランクイン。「生成AIをうまく活用できる会社が生産性を上げ、活用できない会社が取り残される」(専門サービス) と、期待と不安の声が寄せられた。他にも「人口減少」や「異常気象」といった長期的な社会問題も多くの業界で共通の関心事項となっている。

金利のある世界へ突入する2025年


業界ごとの視点に目を向けると、特定の課題が際立つ結果となった。例えば、不動産業では「金利のある世界」(40.2%)が注目キーワードとして全体平均を大きく上回り、金利上昇による住宅購入の抑制が懸念された。運輸業では「中東情勢」(43.4%)が目立ち、原油価格の変動が燃料費に与える影響が警戒されている。

 
これらの企業の声は、「賃金と物価の好循環」という政府の目標が実現可能であるかどうかを試す年になることを示唆している。経営者たちは果たして、この厳しい経済環境の中で未来を見据えた戦略を描き、好循環のための行動を起こすことができるのだろうか。

プレスリリース

文=福島はるみ

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