教育

2025.01.22 09:30

AIチャットボットが大学院の講義を受講しA評価、誰にも気づかれることなく

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AIを使った不正が深刻化している一方で、今回の研究はさらに大きな問題、すなわちオンラインの大学院レベル講義における教育の質や厳格さを疑問視する論点を提示している。
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ChatGPTが当該講義でAを取得したこと自体も問題だが、それ以上に問題なのは、このクラスの平均成績が97.70、中央値が98.53だったという事実だ。これは、このオンライン修士課程のコースにおいて、平均点がほぼ98であったことを意味する。

中央値(半数の学生がそれより上の成績を取り、残りの半数がそれより下の成績を取った点数)はほぼ99だったということだ。言い換えれば、98.5未満の点数を取った学生がいる一方で、98.5を超える点数を取った学生も同数いたということだ。さらに別の言い方をすれば、このクラスの実際の学生の半数以上が98.5以上の点数を獲得したことになる。また、このことは、クラスの規模が数百人程度でない限り、落第した学生はおらず、C評価さえ取った学生がいなかったことを意味する。

これは問題があるというよりも、ほとんど理解不能な事態である。
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このように極端な成績分布を招く要因は、以下の3つに大別されると考えられる。

1つは、講義自体が極めてやさしく「出席すればAが取れる」レベルだった可能性だ。オンライン講義にはそうしたイメージが付きまといがちだが、公立大学の大学院レベルでこれは深刻な問題だ。

もう1つの可能性は、コースが妥協されており、不正行為が蔓延しているということだ。

学術的な不正行為が世界的な数十億ドル(数千億円)規模のビジネスとなっている現代において、解答は簡単に入手可能であり、どこにでもある。実際、ChatGPTがそれらを無料にした。特にオンラインコースでは、不正行為が横行している。
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翻訳=酒匂寛

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