ChatGPTが当該講義でAを取得したこと自体も問題だが、それ以上に問題なのは、このクラスの平均成績が97.70、中央値が98.53だったという事実だ。これは、このオンライン修士課程のコースにおいて、平均点がほぼ98であったことを意味する。
中央値(半数の学生がそれより上の成績を取り、残りの半数がそれより下の成績を取った点数)はほぼ99だったということだ。言い換えれば、98.5未満の点数を取った学生がいる一方で、98.5を超える点数を取った学生も同数いたということだ。さらに別の言い方をすれば、このクラスの実際の学生の半数以上が98.5以上の点数を獲得したことになる。また、このことは、クラスの規模が数百人程度でない限り、落第した学生はおらず、C評価さえ取った学生がいなかったことを意味する。
これは問題があるというよりも、ほとんど理解不能な事態である。
このように極端な成績分布を招く要因は、以下の3つに大別されると考えられる。
1つは、講義自体が極めてやさしく「出席すればAが取れる」レベルだった可能性だ。オンライン講義にはそうしたイメージが付きまといがちだが、公立大学の大学院レベルでこれは深刻な問題だ。
もう1つの可能性は、コースが妥協されており、不正行為が蔓延しているということだ。
学術的な不正行為が世界的な数十億ドル(数千億円)規模のビジネスとなっている現代において、解答は簡単に入手可能であり、どこにでもある。実際、ChatGPTがそれらを無料にした。特にオンラインコースでは、不正行為が横行している。