研究がもたらす、母親にやさしい未来
この研究成果はさまざまな分野に有益な影響をもたらすと思われる。妊娠中の脳の変化が明らかになったことにより、今後、脳の健康に関する研究が進み、産後うつの解明や早期発見、効果的な治療法の確立につながる可能性もある。また、この研究は人々の「人生の転換期における脳の変化」への理解を促進する。例えば思春期の心の変化は誰もが経験するもので「脳の変化」という概念を理解しやすいが、同様に妊娠も重要な脳の再編成の時期だ。今回得られた洞察は、妊娠中および出産後の母体の健康をどう捉え、どうサポートしていくかという課題に有益な洞察をもたらす。
今後、この研究は多様な層を対象にした大規模研究の基盤となり、異なる妊娠体験と脳の変化との関連性が判明する可能性もある。また、他の重要な人生の転換期と、それが脳に与える影響を解明する足がかりにもなり得る。
この研究では母体の脳の適応性と、妊娠の生物学的意義が明らかになった。妊娠という転換期における脳の神秘が解明されるにつれ、マミーブレインや産後うつなどへの理解が深まり、新米ママを見守り、サポートする体制が整っていくはずだ。今回の研究結果を実際の医療現場に取り入れるにはまだ課題が残るが、母子の健康に寄与する可能性は大きく、今後の進展に期待が高まる。
(forbes.com 原文)