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アート

2025.01.18 16:30

文化と経済の「新しい土壌」づくりに尽力された山峰潤也さんを悼む 

山峰潤也さん(撮影=山田大輔)

山峰潤也さん(撮影=山田大輔)

キュレーターとして数々の実績を残し、「アート&ビジネス」という新しい領域の開拓に尽力された山峰潤也さんが急逝された。

山峰さんは1983年生まれ。東京都写真美術館、金沢21世紀美術館、水戸芸術館現代美術センターにてキュレーターとして勤務。「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」(水戸芸術館)や「The world began without the human race and it will end without it.」(国立台湾美術館)などの展覧会を手がけた。

その後、ANB Tokyoの設立とディレクションに関わったのち、文化/アート関連事業の企画やコンサルを行うNYAWを設立。アートプロジェクトのプロデュース、雑誌やテレビなどのアート番組や特集の監修、執筆、講演、審査委員、国際機関による海外派遣など多方面で活躍された。

Forbes JAPANとして一緒に組んだ仕事となったのが、およそ3年前の2022年。アートとビジネスをテーマにした別冊『ART AS AN ATTITUDE アート・ドリブンな未来入門』を制作するにあたり、アドバイザーを担っていただいた。

後日、Web記事向けにインタビューをすると、これまで取り組まれてきたプロジェクト、その背景にある情熱、アートシーンへの課題や危機感、未来へのアイデア……深い知識と数々のアクションの話も伴って、1時間の取材予定が2時間半に。さらには会食へと続き、長時間にわたっていただいたインプットは、その後始動する「Forbes JAPAN ART & BUSINESS PROJECT」の礎となった。
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美術館の外からアートの価値を高める 山峰潤也のキュレーター論

2022年以降、「30 UNDER 30」アート部門の候補者推薦や助言、「カルチャープレナー」特集、イベントでのコラボレーションなど、アートやカルチャーに関わるさまざまな場面で、私たちにはない新たな視点やつながりをいただいた。

23年秋に天王洲で開催された「MEET YOUR ART FESTIVAL 2023」では、私たちにとって初となる展覧会を監修。アート&カルチャーの祭典とされるイベントで、Forbes JAPANとしてどんなコンセプトで、何を提示するべきか。すべて手探りのなか、30 UNDER 30に選出されたアーティスト、起業家、サイエンティストら13人の活動展示を行えたことは、別冊で示した“アーティストとアントレプレナーの共通性”を可視化するものともなり、改めて、ビジネス誌としてアート領域に向き合う意義を実感する経験となった。
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「Forbes JAPAN ART & BUSINESS PROJECT」においては、アドバイザリーボードに就任いただき、編集面、ビジネス面双方で多大なご協力をいただいた。海外視察で得た気づき、向き合うべき課題とそれに対する長期視点のアプローチ、固定概念に囚われないものの見方……この1年は動画「ART IS FUN」でもそんなお話をしていただいた。

打ち合わせの場で、ちょっとした立ち話で、楽しげに口にする大変そうな企画は、数カ月すると展示やイベントとして目にできるものとなり、大勢の人に刺激や感動を与えていた。そうした表舞台は「大勢の協力があってこそ」と、制作や設営に関わる方々への感謝を忘れない人だった。また、アートとビジネスの関係については、常にアーティスト目線に立つ人だった。

昨年末のNYAW年次報告会では、まだ世に出ていないプロジェクトやリサーチについて共有されていた。また別の機会には、自ら実現していきたいプロジェクトとして「New Soil(新しい土壌づくり)」を掲げ、「文化が継続的に育まれていくためのシステム作りと、そのためのインパクトメジャメントをやっていきたい」と語っていた。

その意義ある活動において、Forbes JAPANは何を一緒にできるだろうか。年が明けたら詳しく聞きたいと思っていた矢先の訃報だった。

山峰さんがこれまで耕してきてくれた土壌を継いでいけるように。この先もそばで見ていてくれていると身を引き締めて、努めていきます。

文=Forbes JAPAN編集部

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