世界で最も安全な格安航空会社
2025年に最も安全な格安航空会社とされたのは、香港エクスプレスだった。エアラインレーティングスによると、香港エクスプレスは重大な事故を起こしたことがなく、ほぼ完璧な安全記録を維持している。香港エクスプレスについて、ピーターセンCEOは次のように述べた。「当社はかねてより香港エクスプレスに注目していた。航空会社の安全性を評価する上では、乗客数や機体の大きさ、運航路線といった要素が重要になる。そのため、同社はこれまでランキングに入っていなかった。ところが最近急成長したことで、同社は今年の上位候補に残っただけでなく、一貫して優れた安全実績を誇っていることも相まって、1位に上り詰めた。目立った事故がなく、平均機齢がわずか7年という最新の機材を使用する香港エクスプレスは際立っている。安全性への取り組みで名高いキャセイパシフィック航空との提携により、評判はさらに高まっている」
香港エクスプレスのほかにも、14位のジェットツー、23位のジップエア、25位のエア・バルティックが、今年の格安航空会社のランキングで初登場した。
事故対応で高い評価を得た日本航空
今年のランキングでは、注目すべき変化があった。大韓航空は昨年から2ポイント上昇し、トップ10入りを果たした。24位のベトナム航空は初めてランクインした。注目すべきは、シンガポール航空とKLMオランダ航空という大手2社が今年のランキングに入らなかったことだ。ピーターセンCEOは、この2社は「並外れて安全」だとした上で、シンガポール航空は昨年5月に飛行中の激しい乱気流で死者を出し、KLMオランダ航空は12月に空港の滑走路から逸脱する事故を起こしたことから、惜しくも今年はランク外となったと説明した。
エアラインレーティングスによると、航空会社がどのように事故を処理するかによって評価が大きく変わるという。昨年、羽田空港で発生した日本航空の衝突事故がその一例だ。エアラインレーティングスは日本航空の対応について、次のように評価している。事故が発生した際、「乗務員は日頃の厳しい訓練の内容を実地で効果的に適用し、乗客は手荷物を機内に残して避難するなど、安全手順に従った。乗員乗客の能力がこれほど高くなかったら、この事故は大惨事になっていただろう」。エアラインレーティングスは、事故が起きた際に航空会社がこのように迅速に対応すれば、安全性のランキングで高い評価を得ることになるとした。
空の旅は安全なのか?
では、空の旅はどのくらい安全なのだろうか? 最近行われた航空安全に関する研究では、民間機の飛行で死亡する確率は、世界全体でおよそ1370万回の搭乗につき1回だと示された。これに対し、世界では毎年約119万人が交通事故で死亡している。それでもなお、最近相次いだ航空機事故によって、乗客は警戒心を抱いている。ピーターセンCEOは「航空業界がかつてないほど困難な時期に直面する中、予防可能だったと思われる事故で亡くなられた方々のご遺族に思いを寄せている」とした上で、次のように述べた。「空がますます混雑していることは否定できず、気候変動による天候への影響も無視できなくなっている。英ロンドン発シンガポール航空321便のような重大な事故に代表されるように、乱気流は著しく増加している」
米航空機大手ボーイングは昨年初め、製造上の不具合により、米アラスカ航空などの事故を引き起こした。これに加え、航空会社の拡大に伴い、操縦士の需要が高まりつつあることから、訓練基準を一定に保つことができるのかという懸念もある。ピーターセンCEOは、厳しい訓練を受けて資格を得た操縦士だけが民間機を運航すべきだと強調した。