もう一つは、ウェルカム感の創出。次の開催国にバトンを渡すパリ会場でのセレモニーで、予定されていたFBNジャパンの高梨理事長と私だけでなく、参加していた全ての日本人やヨーロッパに留学中のメンバーの子息たちにも声をかけ、一緒に壇上に上がり、「オールジャパンで皆様をお迎えします」と伝えました。
それらの演出が功を奏して、ビデオ上映後は拍手が鳴り止まず、舞台を降りると、「(東京開催の)席を確保してほしい」「登録日はログインが混み合いそうだ」などの声が飛び交い、会場は興奮に包まれました。
そうして迎えた24年は、新年早々に能登半島地震と羽田の航空機事故が発生。訪日を不安視する声も聞かれ、2月に控えた登録開始への緊張が高まりました。ところが蓋を開けると、定員450人分のチケットが登録開始からわずか6時間で完売。過去32回で最速で完売したのが前年パリの3週間で、定員が埋まらない年もあったことから「異例の快挙だ」とFBN本部から連絡が入りました。
さらにサミットに先立って日本の5カ所で同時開催する「ラーニング・ジャーニー」は、3時間足らずで完売。登録開始時には実際にサーバーがダウンしたそうで、「早起きして登録しようとしたのにSOLD OUT(完売)だった」といった声も多く、キャンセル待ちは数百人に膨らみました。

そこで本部の強い要請を受け、FBNジャパンでは定員を増やし、ラーニングジャーニーも急遽2カ所を新設することに。それらもあっという間に埋まり、年初の懸念は杞憂に終わるとともに、日本に対する世界の関心は本物だったと実感しました。
ラーニングジャーニーという特別旅行
2泊3日のラーニングジャーニーは、広島、千葉、名古屋、鎌倉&銀座、新潟、前橋、静岡の7カ所で、サミットに先立って同時開催されました。広島は『平和とスポーツ』、名古屋は『先端技術と栄華』、鎌倉は『禅と茶』、千葉は『祭とコミュニティ』、新潟は『酒と包丁』、前橋は『アートと街づくり』、静岡は『玩具と生態系』と、それぞれの地域性をキャッチーに表すテーマを設けました。
ファミリービジネスは、地域密着型で地元社会との関わりを大切にしているところが多く、オーナーはその地域の魅力をよく知るアンバサダー的な存在でもあります。そこで各地の核となるFBNジャパンのメンバーにホストを依頼し、傑出したファミリービジネスの訪問や経営者との意見交換を中心に、彼らが薦めるグルメに文化体験を組み合わせた旅を共創しました。


