いきなり世界を目指す日本のスタートアップが増加
CES 2025のJapanパビリオンに出展した各社は、経済産業省が推進する国内スタートアップ企業の育成プログラム「J-Startup」に参加しながら、世界で活躍するために力を付けてきた。ジェトロのイノベーション部次長である樽谷範哉氏は、2018年のCESに初めてJapanパビリオンを出展して以来、多くのスタートアップに近く寄り添いながら支援をしてきた。
2023年からJapanパビリオンのデザインをスタイリッシュに一新して、中央に設けたステージでは3日間に渡って、出展31社のイントロダクションとピッチセッションを精力的に開催した。31社の全ブースに掲げられたバナー(看板)には、出展する企業が何を得意とする会社なのか、立ち寄った来場者がひと目見てわかるようにキャッチコピーを入れた。昨今ではAIに新素材、生物学や宇宙科学などの深い知見に基づき社会的課題の解決を図るディープテックに多くの関心が向けられている。元は日本の企業や研究開発機関が得意とする領域でもあることから、樽谷氏によると日本のディープテック系のスタートアップにいま米国の投資家たちが熱い視線を注いでいるという。
さらに日本で実力をつけてから海外を目指すスタートアップだけでなく、最初から世界市場に打って出るスタートアップも増えたそうだ。特にコロナ禍以降は人材の流動性が高まり、優秀な人材が大企業だけでなくスタートアップでも実力を発揮している。そしてビデオ会議ツールの普及により、海外にいる人々と頻繁にコミュニケーションが取れるようになったことも世界進出を目指す起業家の背中を押しているのではないかと樽谷氏は語る。Japanパビリオンは2025年もCESに出展する。次回以降はブースに足を運ぶ来場者に、出展するスタートアップが現在いるステージをひと目でわかりやすく見せて、効率よくマッチングを促すことも検討しているそうだ。製品やサービスのプロトタイピング、あるいはローンチ後のステージでは必要なコミュニケーションの内容が異なるからだ。
CESを主催するCTA(全米民生技術協会)が設ける規定により、ひとつのスタートアップがEureka Parkに出展できる機会は2年・2回までに限られている。この場所から巣立って、実力を付けて大きくなってから、ベネチアン・エキスポに単独で大きなブースを構える企業もある。Japanパビリオンから世界に羽ばたく企業が生まれることを期待したい。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
過去記事はこちら>>


