転んでも痛くない床材/自動でピント合わせができるレンズ
Magic Shield(マジックシールド)は、元はヤマハ発動機でレーシング用バイクの開発に携わってきた、代表取締役CEOの下村明司氏が静岡県浜松市に立ち上げたスタートアップ。バイクレーサーを転倒時の衝撃から守るために開発した衝撃吸収素材を応用して、高齢者を転倒による怪我や骨折から守る床材「ころやわ」を開発した。日本では先に商品として展開されており、2024年の5月時点は600以上の医療機関・福祉施設が採用している。
マジックシールドが開発した、特殊な衝撃吸収素材を内包する床材「ころやわ」。特殊なエラストマー樹脂素材が衝撃を吸収する
下村氏が忍者道具の水蜘蛛から「ころやわ」のアイデアを得たことから、海外向けには「SHINOBI FLOOR」というキャッチーな名称にした。これから米国をはじめ7カ国に本格進出を目指す。最初は好奇心からブースに足を止めた来場者が、「ころやわ」の画期的な発想と高い技術力に触れた途端に表情を変えて真剣に下村氏の説明に耳を傾けていた様子が印象的だった。現在、同社は「ころやわ」にセンサーを内蔵して、転倒通知機能を持たせた新商品の開発を進めている。
マジックシールド代表取締役CEOの下村明司氏
大阪大学などで電子材料と半導体デバイスの研究開発に従事してきたCEOの李蕣里氏が2019年に立ち上げた
Elcyo(エルシオ)は、液晶レンズに基づく特殊なオートフォーカス方式のレンズを開発するスタートアップだ。
自動でピント調節を行うエルシオの液晶レンズ
透明な基板の中に多数の液晶分子を封入した液晶レンズに、電圧変化を加えるとフォーカスが変わる。従来、液晶レンズはぶ厚くて視野が狭くなる課題を持っていた。エルシオは独自の技術で薄く口径の大きな液晶レンズに、球面レンズや非球面レンズを同心円状に分割して厚みを減らすフレネルレンズの原理を応用して薄型化を図った。
レンズは装着者の目の動きに合わせてフォーカスを自動で変えられることから、いわゆる老眼をサポートする遠近両用メガネのレンズに革新をもたらす可能性がある。同社はまず2025年末から来年頃に、XR/ARスマートグラスの視力補正用レンズアタッチメントの製品化を目指している。