トランプが20日に発令する大統領令には、暗号資産業界の銀行サービスへのアクセスを制限する施策の廃止や、ウォール街の大手が顧客の暗号資産を保管することを妨げる「SAB121」と呼ばれる会計ルールの撤廃が含まれる可能性があるとワシントン・ポスト紙は報じた。
「トランプのチームは、これを最優先事項に位置づけることを明確にした」と匿名の情報筋は同紙に語った。
バイデン政権は、これまで「オペレーション・チョークポイント2.0」と呼ばれる取り組みを通じて暗号資産業界の銀行サービスへのアクセスを制限してきたとされる。この問題は、直近ではベンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセンがジョー・ローガンのポッドキャスト番組で取り上げたことで、世間の注目を集めていた。
アンドリーセン・ホロウィッツ(16z)を通じて数多くのテクノロジー企業や暗号資産関連の企業に出資を行ったアンドリーセンは、トランプ新政権の暗号資産責任者のデービッド・サックスと親密だとされている。
一方、マイクロストラテジーのマイケル・セイラーが率いる暗号資産分野の企業らは、顧客の暗号資産を保管する企業に対し、それらの資産を貸借対照表に「負債」として計上するよう義務づける「SAB121」と呼ばれる米証券取引委員会(SEC)の規則に反発している。この規則は、カストディ(資産保管)事業を行う上での障害になっている。米国の上院下院は、SAB121の非承認を決議したが、バイデン大統領が拒否権を発動していた。そのため、トランプが大統領でこの規則を覆すことが期待されている。
セイラーは、SAB121の撤廃を「ビットコインの価格を500万ドルにまで押し上げる3つの要因の1つ」に位置づけており、これによりビットコインの時価総額が100兆ドルに到達すると述べている。オルタナティブ資産運用会社Apollo Global Management(アポロ・グローバル・マネジメント)のジュリアン・ファーラーCEOは、セイラーが言う残りの2つの要因の、ビットコインの現物ETFと、公正価値会計(暗号資産の価値を取得価格ではなく市場価格で計上する会計手法)の導入は、すでに実現したと述べている。
世界最大の資産運用会社のブラックロックは2023年に現物ビットコインETFをSECに承認させるための取り組みを主導し、昨年1月にiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)と呼ばれるETFを上場させた。
ブルームバーグ・インテリジェンスのデータによれば、米国の現物ビットコインETFの資産総額は、昨年11月に1000億ドル(約15兆8000億円)を突破したが、ブラックロックによるIBITの当時の資産総額は約600億ドルに達し、史上最も急成長したETFの1つとなっていた。
(forbes.com 原文)