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テクノロジー

2025.01.14 10:00

1億人のアップルmacユーザーに重大警告、新たなハッカー攻撃確認

Alberto Garcia Guillen / Shutterstock.com

「Macのほうが安全だという一般的な認識があるかもしれませんが、今回の件は、どのOS(オペレーティングシステム)であっても強固なセキュリティ対策が欠かせないことを改めて示しているのです」とシュウェイクは話す。Banshee Stealerのような進化する脅威を抑え、重要なデータを守るためには、エンドポイントセキュリティの導入や厳格なパスワードポリシーの実施、フィッシングやマルウェアのリスクに関する社員教育、ソフトウェアを常に最新のセキュリティパッチに更新するなど、積極的なセキュリティ姿勢が不可欠だとシュウェイクはまとめている。
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Keeper Securityの最高情報セキュリティ責任者(CISO)であるジェームズ・スコビーも、macOSを狙う脅威がいかに進化しているかをBanshee Stealerが示していると指摘する。「これまでmacOSは、Windows PCと比べてウイルスやマルウェアに強いと思われてきました。しかし攻撃者は、ネイティブのセキュリティツールから得た暗号化技術などを駆使して手法を洗練させ、企業はもはや従来の『安全神話』に頼れなくなっています。Banshee Stealerのように高度化したマルウェアは、盗まれた認証情報やユーザーのミスを利用して防御を回避するのです」とスコビーは語る。

Check Pointのアントニス・テレフォスによる詳細な技術レポートでは、「Bansheeの開発者が導入した比較的小さな文字列暗号化のアップデート」が、多くのウイルス対策製品からの検知を2カ月以上も回避できた原因だとされる。これはmacOSユーザーを標的とする脅威が増えているだけでなく、攻撃者が多様なOSへの攻撃手段を拡充していることを示す事例だという。

Jamf脅威ラボのディレクターであるジャロン・ブラッドリーは、2023年を通して認証情報を盗むマルウェアキャンペーンが急増していると警鐘を鳴らす。「macOS上でもこれらのキャンペーンは驚くほど成功を収めています。成功の鍵はソーシャルエンジニアリングで、攻撃者はユーザー自身にマルウェアを実行させるように仕向けるのです。どれほどOSのセキュリティが堅牢でも、ユーザーを納得させてしまえば攻撃を回避できません」とブラッドリーは言う。また、アップルのXProtectルールは既知のマルウェア検知には有効だが、マルウェア開発者はそれを監視し、次のバージョンで巧妙に検出回避を図る可能性が高いとも述べている。

macOSユーザーが直面するリスクと対策

Check Pointの研究者たちは、アップルがGatekeeperやXProtect、サンドボックスなどの強固なセキュリティ機能をmacOSに搭載している点は評価しつつも、Banshee Stealerの再登場と拡散は「どんなOSも脅威から完全に無縁ではいられない」ことを改めて示す警告だと強調している。これを無視するmacOSユーザーは大きなリスクを抱えることになる。Check Pointのテレフォスは「Bansheeの成功は、macOSユーザーにも警戒が欠かせないことを物語っています。脅威アクターが活動範囲を拡大し、攻撃手法がますます高度化する中、セキュリティソリューション側も進化しなければなりません」と語る。
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翻訳=酒匂寛

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