終値(1375円)ベースの時価総額は1554億円で、企業価値10億ドル以上のユニコーン規模を誇る企業となった。吸収金額も238.4億円と大きな資金調達を実施。「当時の厳しい市場環境下では上出来だった。最終的にふたを開けると、海外機関投資家からの需要ははるかに大きく、(公開価格が)もっと高くてもよかった」
より大きな社会課題に投資
大重が産業革新機構に参画したのは12年にさかのぼる。当時から意識してきたのは前職時代からもっていた「より大きな社会課題に投資をしたほうがリターンが出るはずだ」という考え方だ。「官民ファンドであれば、なおさらそれを意識して投資をしないといけないと思っていた。『どんな大きさの社会的な課題を解決しにいっているか』、そのなかで民間の資金で充足できるのか、産業革新機構が必要とされるのか、をずっと見て投資をしてきた」と大重は話す。大重が投資をしIPOしたアストロスケールHDや、今年株式譲渡した電動車いすのWHILLはまさにその象徴と言えるだろう。
投資金額約83億円、初値ベースのキャピタルゲイン(投資益)約160億円で「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」1位となったことについて大重は次のように振り返る。
「アストロスケールHDへの投資で絶対額としては大きなリターンが出せたが、相当な金額を投資しているので、投資リターン(IRR、内部収益率)としては必ずしも高くはありません。ただ、世の中には、民間の投資だけでは充足できないスタートアップやビジネスチャンス、社会課題があり、官民ファンドである我々が支援でき、結果として上場までつながった事例ができた。そのこと自体は本当に良かった。官民ファンド設立の目的であった新産業創出ができたかというと、残念ながらそれほど目立った成果は多くはなかったが、宇宙は唯一の大成功事例。宇宙産業をけん引する企業にかかわれたのは幸せでした」


