奥田:私が初めて名古屋のスタートアップに関わったのは、2014年に名古屋では初開催されたイベント「Startup Weekend」の審査員をしたことです。元々、愛知県は経済基盤が強いため注目はしていましたが、スタートアップ不毛の地とも言われてきました。ただ、日本で、シリコンバレーには才能豊かな若者が集まり、その力で成り立っていると思われがちですが、実はIT企業以前に潤沢な資金が集まる産業集積地であった特徴があり、事業会社とともに成長してきたことを忘れてはいけません。
10年前のイベントで驚いたのが、女性起業家の応募がゼロだったということです。例えば、沖縄県の同様なイベントでも30〜40人は来ますから、都市の規模に対して圧倒的に女性が少ないことが気掛かりでした。粟生さんもそのイベントに関わってましたが、女性と言えばサポート側の私たち2人だけだったと思います。その前に粟生さんのキャリア相談を受けてシスターフッドのような関係でつながってましたが、今ではTechGALAを通じて社会を変える、地球を変えるというイベントを一緒につくるまでになりました。

産業集積地である名古屋が動かないと、日本の「失われた30年」の状況は変えられないと私は思っています。これからこの地域でスタートアップが増えていき、螺旋式に上がっていくイメージで事業会社がともに成長していけると思います。
粟生:私は東京と名古屋の2拠点で働いてきましたが、2012年に東京進出をする際に奥田さんと初めてお会いしました。息子がまだ未就学児で東京の会社での役員昇格となり、新規事業を任された時に不安を感じ、人生相談をしたんです。名古屋に戻って起業してから5年が経ちますが、この地域でもスタートアップエコシステムや、事業会社の関わり方の変化を感じています。
奥田:TechGALAでも私の予測以上に県内外から協賛が集まり、その金額的にも東京のイベントを超える可能性を感じています。
粟生:名古屋は着火するまでは時間がかかりますが、火がつけばみんなで寄ってたかって応援するようなものづくりカルチャーの強みが発揮される地域だと思っています。ですが、外から奥田さんという「新しい血」が入ってきたことで、思いのほか地元企業の皆さんの心に火をつけられたなと思います。また、思いの強い中小企業のアトツギや中堅企業の方々が当事者意識をもって、地域連携を担う「コミュニティサポーター」として参加していただいてます。
──奥田さんがTechGALAの総合プロデューサーとして、イベント設計で意識した点について教えてください。
奥田:身近な問題を考える/地球レベルで物事を考えることの2点を意識しています。地方創生イベントなら私は作りません。身近な視点をもちながら地球がこれからどうなっていくか、スタートアップだけでなく、テクノロジーをテーマにしたイベントプロデュースをしています。
GALAは日本では馴染みがない方が多いですが、資金力や地域のある人がそれらを提供して社会を変えていくパーティーの場でもあります。それは大企業だけでなく、町工場などの中小企業経営者も同じ。着飾って堂々と、豊かな次世代をつくるためペイフォワードする、そんな文化を地域からつくる機運醸成につなげていきたいです。


