カリフォルニア州の矯正リハビリテーション局(CDCR)は、地元の消防局と連携して35の消防チームを運営している。この取り組みに自発的に参加する受刑者たちは、さまざまな災害への対応方法を学んだ上で派遣されている。CDCRによると、1月9日時点で、783人の受刑者消防士(88人の支援スタッフを含む)が「山火事の拡大を食い止めるため、24時間体制で活動を続けている」という。
これらの受刑者は、スキルに応じて1日あたり5.80ドル(約920円)から10.24ドル(約1620円)を稼ぎ、緊急対応中にはさらに時給1ドルを追加で受け取ることができる。CDCRによると、最も経験の浅い受刑者でも24時間の緊急シフトで26.90ドル(約4260円)を稼ぐことが可能だという。
カリフォルニア州では、2020年の法律によって、非暴力犯罪で服役した受刑者が消防プログラムに参加した場合に、出所後に前科の抹消を求めることが可能で、消防士の職を得ることが容易になる措置が取られている。
このプログラムは、1915年の類似のプログラムにルーツを持つもので、第二次世界大戦中に消防士の人手不足を改善するために活用された。その後、1980年代にはロサンゼルス郡消防局と提携し、昨年も大規模火災で受刑者が活躍していた。
一方、このプログラムは主に、山火事の消火というリスクの高い仕事を低賃金で行わせる点や、過酷な労働条件が問題視されている。受刑者は、緊急時に24時間体制のシフトで働いた後に24時間の休息を取るが、ホースや水を使って消火活動にあたるのではなく、斧やチェーンソーなどを使用するとされる。
2017年から2020年の間に少なくとも3人の受刑者消防士が死亡していた。このプログラムを批判する人々は、受刑者が「自発的」に参加しているとしても、リスクのある仕事を引き受けるか、前科を抹消する機会を逃すかという選択を迫る点で「搾取的だ」と指摘している。
消火活動に参加したある元受刑者は公共ラジオNPRの取材に、「危険だが、消防士としての仕事を通じて天職を見つけた」と語り、時間とともに「その仕事に夢中になった」と振り返った。また、ワシントン・ポストへの意見記事で、別の元受刑者は危険ではあるが、「州の通常の刑務所にいるよりも良い」と述べた。
このプログラムに参加する受刑者は、刑務所内で問題を起こしていないことや、残りの刑期が8年以下であることが条件となる。また、強姦や放火、脱走歴などの有罪判決や医療上の問題、または注目を集めた事件での有罪判決を受けた者は対象外となる。
ロサンゼルス・タイムズ紙は昨年7月の記事で、カリフォルニア州の山火事の消火活動にあたる人員の約30%が受刑者だと報じていた。しかし、刑務所改革の影響で消火活動に従事する受刑者の数は減少しており、2005年には4250人が参加していたのに対し、昨年7月時点では1760人に減少していた。
(forbes.com 原文)