だがそのなかに、見慣れない奇妙な装軌車両が2両ほどあった。片側に5つの転輪が見え、あり合わせのものでこしらえたらしい嵩高の構造物を上部に取り付けたこれらの車両は、余剰のT-62の車体をベースにロシア側が自作した装甲兵員輸送車だったようだ。
/2. Russian T-62 converted into an armored infantry transport or armored recovery vehicle or siege tower. It's hard to tell the difference. pic.twitter.com/B5SNObgMOn
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) January 3, 2025
古くて粗雑なこの改造車両は、たしかに見てくれはよくない。だからといって機能しないとは限らない。思い起こすべきなのは、実はウクライナ軍も、鹵獲したロシア軍のT-62の一部を歩兵戦闘車や工兵車両に改造して用いていることだ。
外的な要因を無視できるなら、砲塔を取り払ったT-62の30tほどの装甲車体と、580馬力のエンジンは、もともとバスル(砲塔後部の張り出し)があったスペースに乗り込む歩兵に、それなりの防護と機動性を与えるはずだ。
これらの車両にとっての問題、いや、2年10カ月半にわたるこの戦争でロシア軍が使っているすべての装甲車両に言える問題は、外的な要因を無視できないことだ。爆弾を搭載したドローン(無人機)が飛び交う中間地帯を越えていく大規模な突撃では、どのような車両も生き延びられる見込みがまずないのだ。
車両の墓場を映した動画を投稿したブロガーは、その場所については言及していない。ただ、辺りに雪があまり積もっていない点や、ロシア軍が最近、大量のT-62を投入して大規模な突撃を行ったという報告を考え合わせると、場所はどうやらウクライナ東部ドネツク州のチャシウヤール近辺のようだ。ロシア軍はほぼ1年にわたってこの要塞都市を攻略しようとして失敗している。
大破して遺棄された車両の密集ぶりからして、大規模な突撃部隊がウクライナ軍の堅い防御にぶつかり、即座に撃破されたのは明らかだ。そして、こうした例は4年目に入ったこの戦争で珍しいものではない。