欧州

2025.01.10 09:00

ウクライナのSu-25攻撃機が「精密爆撃機」に変身 滑空爆弾搭載、スタンドオフでリスク軽減

ウクライナ空軍のスホーイSu-25攻撃機。2017年7月、ミコライウ州オチャキウ(Vitalii Masliukov / Shutterstock.com)

ウクライナ空軍のスホーイSu-25攻撃機。2017年7月、ミコライウ州オチャキウ(Vitalii Masliukov / Shutterstock.com)

ウクライナ空軍にスホーイSu-25攻撃機はあまり多くは残っていない。それでも、残っているSu-25は、ロシアが起こして4年目に入る全面戦争でなお戦闘を続けている。

このタフな旧ソ連製の亜音速機に取り付けられたカメラで撮影された映像を編集し、最近公開された動画では、フランス製のAASM「ハマー」滑空爆弾をロシア軍の目標に向けて投下する様子を見ることができる。



単座のSu-25が翼の付いた約250kgの爆弾を搭載して攻撃任務を遂行するこの動画が投稿される数週間前、ウクライナ空軍のスホーイSu-27戦闘機が約110kgの米国製GBU-39滑空爆弾を投下する同様の映像もソーシャルメディアで共有されていた。
映像を見る限りSu-25とSu-27の戦術は似ている。いずれもロシア側の防空システムに探知されるのを回避するため、地形を這うように低空を高速で飛行して前線に向かう。そして急上昇し、爆弾をリリースする。

機体が高度を上げ、角度を高くすることで、これらの精密誘導弾の射程は数km伸びる。最適な発射条件ではAASMの射程は70km超に達するものの、ウクライナの上空で最適な条件が整うことはめったにない。

当初の飛行高度が低いという制約はあっても、ウクライナ空軍機はこうした「トス爆撃」方式によって、ロシア軍の最も危険な地対空ミサイルの射程外にとどまりやすくなる。

ウクライナ空軍機の空中での損害が2024年の初めごろに比べると少なくなっているのは、理由のないことではない。ウクライナ空軍はロシアの全面侵攻が始まった2022年2月時点でSu-25を43機保有し、その後マケドニアとブルガリアから計18機を取得した一方、少なくとも20機を撃破された。足し引きするとSu-25の現在の保有数は最大で41機ということになる。

注目に値するのは、Su-25の2024年の損失数がわずか3、4機にとどまることだ。これは驚くにあたらない。というのも、ウクライナ空軍のSu-25部隊は同年、戦術を大幅に見直し、それまで行っていたロケット弾による近接戦闘をやめ、AASMなどの滑空爆弾による敵の射程外からの「スタンドオフ爆撃」に切り替えたからだ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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