リーダーシップ

2025.01.24 15:15

「させていただく」をやめよう。1000+人の社長を教えたスピーチコーチの戦略

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「ホコリ」を徹底的に落とせ!(言葉の大掃除大作戦)

これまで何千人というエグゼクティブの話し方の家庭教師をしてきましたが、最近の日本人の話し方に「ある深刻な問題」が発生していることに気づきました。
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言葉に「ホコリ」が大量に付着しているのです。

本日はお忙しいところ、お越しいただき、あー、大変、ありがとうございます。

ただいまご紹介にあずかりました岡本と申します。

本日は、えー、「□□□」についてお話しさせていただきたいと思っております。このような機会をいただき、はい、大変ありがたく思っております。

慣れない席で、とても緊張しております。

どうかお許しいただき、この内容についてご理解いただいたうえで、えー、何かひとつでも持ち帰っていただけますと、嬉しいなと思っております。

まず、○○についてお話しさせていただいたあと、次に△△についてお話しさせていただき、あー、最後に××についてお話しさせていただきます。

それでは、始めさせていただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

この文章、じつはほとんど「ホコリ」です。それを落とすと次のようになりますね。

みなさん、こんにちは。お越しいただき、ありがとうございます。

本日は「□□□□□□」についてお話しします。〇〇、△△△△、そして××と進めていきます。

これで十分なのですが、先ほどの話し方はいろいろな「ホコリ」が大量発生し、長〜いあいさつになってしまっています。どれが「ホコリ」か。たとえば、
「ただいまご紹介にあずかりました」
→もう紹介されているのであれば、繰り返す必要はないですよね。
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「慣れない席で、とても緊張しております」
→緊張感を笑いにして、聴衆を和ませるのであればOKですが、逆に、会場全体をナーバスな空気に包んでしまう可能性もあるので、要注意です。

「この内容についてご理解いただいたうえで、何かひとつでも持ち帰って」
→「聞き手に内容を理解してもらう」のは、話し方を改善することで実現するのであって、頼み込んでどうにかなるものではありません。

「〇〇させていただきます」の羅列
→「させていただく」は相手の了解をとる言葉ですが、そこまでへりくだる必要はありません。また、これを繰り返すことで、話が冗長になってしまいます。

「と思います」
→断定を避け、責任を回避しようという心理の表れかもしれません。「ヘッジング」と言われる、リスクヘッジの話法ですが、この言葉をつけることで、回りくどく、決断力が低いとみなされます。

「あー」「えー」「はい」といったfiller words(間を埋める言葉)
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