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起業家

2025.01.15 13:30

2025年注目の日本発スタートアップ7社

イラストレーション=Kouzou Sakai

麻酔も入院も不要に 超音波による次世代がん治療

佐藤 亨|ソニア・セラピューティクス


抗がん剤や放射線治療と比べ副作用が少ない新たながん治療が実用化されようとしている。ソニア・セラピューティクスが開発する「次世代型超音波ガイドHIFU(集束超音波)治療装置」による治療だ。
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体外から照射した超音波を集束させてがん細胞を焼く従来の「HIFU」技術に加えて、超音波で体内に気泡を発生させる「キャビテーション気泡援用」技術を搭載した。気泡を利用することで、治療箇所をリアルタイムでモニタリングしながら、少ないエネルギーで短時間にがん細胞を加熱、壊死させることができる。治療に麻酔は不要。放射線被曝の心配もなく、再発しても繰り返し治療が可能で、将来的には日帰りも期待できる世界初の画期的な装置だ。「市場規模は将来的に年間5000億円になると試算しています」と代表の佐藤亨は話す。

もともとは東北大学と東京女子医科大学、東京医科大学が共同で研究開発してきた技術で、大学側が社会実装の可能性を模索していたときに出会ったのが大手製薬会社などでがん治療にかかわってきた佐藤だった。当時東京女子医大の准教授で現COOの岡本淳から「PK戦で例えると最後のボールを蹴るだけ。その“ひと蹴り”をしてくれないか」と話をもちかけられ、創業を決めたという。

現在は、がんのなかでも特に治療が難しい「膵臓がん」での治験を進めており、27年の販売を目指す。25年からは米国での治験も開始する見込みだ。
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iPS創薬で切り開く 腎疾患治療の最前線

森中紹文|リジェネフロ


「日本の創薬ベンチャーで、1000億円以上の売り上げを出したところはほぼありません。私たちの事業は、その壁を越えられる可能性を秘めています」と語るのは、創薬スタートアップ、リジェネフロCEOの森中紹文だ。

同社は、京都大学iPS細胞研究所教授の長船健二が2019年に設立。ベンチャーキャピタル出身で創薬研究の経歴もある森中が、CEOとしてかじを取る。フォーカスしているのは、治療薬が少なく、人工透析など治療法も患者への負担が重いことで知られる腎臓疾患の領域だ。iPS細胞由来のミニ臓器(オルガノイド)を用いて治療薬や細胞療法を研究開発している。

目下、力を注いでいるのが、腎臓に嚢胞ができる難病「常染色体優性多発嚢胞腎(ADPKD)」の治療薬だ。その市場規模は1兆円以上。世界の患者数は1300万人とされる一方、根本的な治療は未だ見つかっておらず、既存の治療薬には、重い副作用のリスクがある。リジェネフロは、これまでの研究でADPKDに対して白血病の治療薬が有効であることを発見。23年には国内での治験を開始した。

ADPKD治療薬は30年の実用化を目指しているが、「当社は層の厚い研究開発チームを抱えており、腎臓だけでなく、肝臓、膵臓の領域でも新薬を開発していく」と森中は意気込む。「世界中の患者にいち早く薬を届けていきたい」

text by Aya Ajimi(SHAREDINE), Azusa Izawa( Sales Marker), Takashi Okubo(UTAITE), Hiroko Nakazawa(TopoLogic・Rege nephro), Hiromi Kihara(SONIA Therapeutics)|photograph by Shunichi Oda

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