起業家

2025.01.15 13:30

2025年注目の日本発スタートアップ7社

イラストレーション=Kouzou Sakai

イラストレーション=Kouzou Sakai

料理人も利用者も笑顔に 食の新エコシステム構築へ

飯田陽狩・井出有希|シェアダイン



家庭向けの出張シェフサービスを展開するシェアダイン。2018年のサービス開始以来、管理栄養士やレストランシェフなど1万人が登録する業界最大級のプラットフォームに成長している。

創業のきっかけは、当時大手コンサルティング会社の同僚だった飯田陽狩と井出有希が「仕事と育児を両立するなかで食事の準備がおろそかになってしまう」という共通の悩みを抱えていたことだった。そこで立ち上げたのが、プロの料理人が家庭を訪問し、献立提案から買い出し、調理までを一貫して行う「SHAREDINE(シェアダイン)」だ。個人利用者だけでなく、企業や自治体に対して、従業員向けの福利厚生サービスや住民向けの子育て支援サービスとして導入を進め、家庭の負担を軽減してきた。

23年からは事業者向けの「SPOT CHEF」を展開。飲食店やホテルに最短即日でシェフをマッチングし、人手不足や採用コストの課題解決を支援する。複数のホテルや飲食事業者が導入し、「四半期で約100万円の採用コストを削減できた事例も出ている」と飯田は言う。

さらに、24年10月には料理人向けキャリアSNS「CHEFLINK(シェフリンク)」をリリース。求人情報の提供や、AIを活用したプロフィール作成支援など、料理人のキャリア構築を包括的にサポートする。「業界の慣習的に難しい『フリーランスシェフ』という働き方をできるようにしたい」(井出)と、飲食業界の新たなエコシステム構築に挑む。

創業3年でARR25億円 インテントセールスの先駆者

小笠原羽恭|Sales Marker


「インテントセールス」という新たな営業手法を提唱するのがSales Markerだ。企業のWeb検索行動から推測される興味関心データ(インテントデータ)に基づいて営業活動を支援する同社のSaaSプラットフォーム「Sales Marker(セールスマーカー)」は、500社以上の導入実績をもつ。

属人的で手当たり次第な従来型の営業から、CRM(顧客関係管理)システムやデジタルマーケティング、AIなどを活用したデータドリブンな営業にかじをきる企業が増えている。そのなかで同社は、520万件以上の法人データベースとインテントデータを組み合わせて、顧客ニーズをリアルタイムで把握することができるプラットフォームを開発した。顧客の興味や購買意欲をグラフや数値に示し、ニーズを可視化。検討フェーズに合わせた訴求内容とアプローチ方法を提案する。

2021年の創業以来、急速な成長を遂げ、サービスローンチから2年8カ月で年間経常利益(ARR)25億円を突破。最新のシリーズAラウンドで15.1億円を調達し、累計調達額は約23.5億円に達するなど、SaaS領域の成長株だ。

代表取締役CEOの小笠原羽恭は、エンジニア出身。「テクノロジーで世界を変えたい、そう考えたときにプロダクトをつくるだけではなく、事業化が必要と痛感したんです」と創業の原点を語る。「世界でも通用する精度の高い技術で海外市場に挑んでいく」と意気込む。
次ページ > AI技術を用いて犯罪予測するシステムを開発する

text by Aya Ajimi(SHAREDINE), Azusa Izawa( Sales Marker), Takashi Okubo(UTAITE), Hiroko Nakazawa(TopoLogic・Rege nephro), Hiromi Kihara(SONIA Therapeutics)|photograph by Shunichi Oda

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事