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リーダーシップ

2025.01.11 08:00

なぜ中間管理職はコロナ禍以降「6%減少」? それがもたらす問題

Hryshchyshen Serhii / Shutterstock

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米テレビドラマ『ジ・オフィス』には、無神経だがどこか好感の持てるマネージャー(中間管理職)、マイケル・スコットが登場する(演じるのはスティーヴ・カレル)。しかし、運命の思わぬ展開によって、米国の企業ではこうした役職が消えつつあるようだ。

各社は中間管理職を次々と廃止しており、こと細かに指示を出す上司が職場にいる時代は終わりに近づいているのかもしれない。このトレンドに伴い、米国の大手企業では組織構造の再編が進んでいる。その先頭に立っているのは、メタなどのテック大手だ。

近年、中間管理職の数は着々と減っており、組織構造と、従業員の業務負担に多大な影響が及んでいる。Live Data Technologies(ライブデータ・テクノロジーズ)によると、中間管理職の数は、コロナ禍以降、6%減少した。逆にいうと、中間管理職1人あたりの管理業務は大幅に増加した。このことは、ガートナーの調査で裏付けられており、1人のマネージャーが管理する従業員数の平均は2017年比で3倍に増えたとウォール・ストリート・ジャーナル紙は伝えている。

スリムな組織階層が求められている背景には、コストを削減して経営を合理化したいという、企業側の事情がある。そして、コスト削減の標的となったのが、給与や手当などが比較的手厚い中間管理職だ。中間管理層が薄い方が、スムーズに意思疎通ができ、意思決定のスピードが上がると考えた企業が、よりフラットな構造へと舵を切りつつある。

この流れを加速させているのが、AI(人工知能)をはじめとした技術の進歩だ。AIが従来型管理業務の多くを引き継げば、中間管理職は、ますます人員削減の対象になっていく可能性がある。

効率化に向けた動き

メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は2023年、自社内で大きくなりつつあった問題点を指摘した。つまり、管理職層が厚くなりすぎているという問題だ。管理構造をスリム化しなければならないことに気づいたザッカーバーグは、マネジメント手法の大転換に着手した。

ザッカーバーグは、ある社内ミーティングの中で、自社の管理職層が厚みを増していることについて懸念を表明した。そして、マネージャーが、階段状に他のマネージャーを管理するという多層型の管理構造は、自社の効率性と生産性にとって望ましくないと強調した。

ザッカーバーグはこう述べた。「マネージャーが自分の下のマネージャーを管理し、そのマネージャーがさらに下のマネージャーを管理し、そのマネージャーが実際の業務を行う従業員を指揮する、というような管理構造が望ましくないことには、誰もが賛成すると思う」

この問題に取り組むべく、ザッカーバーグは2023年を「効率化の年」に定めた。目的は、相応の価値でメタに寄与することなく、大きな影響力と高給を得るに至った管理職の数を減らして、業務を合理化することだ。最終ゴールは、より機敏でコスト効率が高い組織を生み出し、メタの長期ビジョンを追求して財務的業績を向上しやすい状況を実現することだった。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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