「委細承知いたしました」の意味とは?
「委細承知いたしました」とは、「詳細な内容をすべて理解しました」や「あなたの指示・要望を正確に把握して了解しました」という意味を持つ敬語表現です。 「委細」とは「細かい点や詳しい内容」を指しており、それを「承知いたしました」と結ぶことで、「細部に至るまできちんと理解し、把握しました」というニュアンスを強調します。 メールや文書のやり取りで、特に上司やクライアントからの指示・要望を受けて「詳細まで理解した」と報告するときに使われることが多いフレーズです。
日常会話で使う「分かりました」よりも遥かにフォーマルな響きがあり、ビジネス場面で「細部まで了承済み」という姿勢を示したいときに非常に有用です。 相手に「きちんと把握し、抜かりなく対応する準備がある」という前向きな印象を与えられます。
なぜ「委細承知いたしました」を使うのか
より丁寧に、相手への敬意を示すため
「分かりました」「了解しました」だけでも相手に意思伝達は可能ですが、より敬語度を高め、かつ詳細まで認識していることを明示するには「委細承知いたしました」が適切です。 自分が下の立場やサポート役でありながら、きちんと理解して行動する意欲があることをアピールでき、相手に好印象を与えられます。
細部まで正確に把握していることを強調するため
「委細」には「詳しいこと」「細かな点」という意味が含まれるため、「委細承知いたしました」と言うと、相手の要望や指示を表面的ではなく、すべて汲み取って理解していると伝わります。 重要な業務や手配、仕様の調整などを依頼された場合には、相手が「細かいところまで大丈夫か?」と不安に思うこともあるため、この表現が有効に働きます。
ビジネスシーンでの使い方
メール・チャットでの応答
上司や取引先から具体的な依頼や注文内容を受けたとき、短文で「委細承知いたしました」と返信することで、必要事項を把握したことを端的に示せます。 ただし、できるだけ相手が依頼した内容を簡潔に要約してから「委細承知いたしました」と結ぶと、相手に「本当に全部理解しているのだ」とより強い安心感を与えられます。
会議や打ち合わせ中の確認
プレゼンや打ち合わせ中に細かな指示や追加情報が出てきたとき、「委細承知いたしました」と口頭で回答すれば、「その点、きちんと覚えて対応します」とアピール可能です。 ただし口頭の場合、くどくなる恐れがあるので、何度も繰り返し使うよりは要所要所で使うのが良いでしょう。
「委細承知いたしました」を使う際の注意点
内容を要約・復唱して確認を取る
いくら「委細承知いたしました」と言っても、実際に誤解があれば大きな問題に繋がる可能性があります。 「念のため、◯◯の点については~と理解しております」と要約して相手に再確認を取ると、ミスを回避しやすくなります。 相手も「本当に細かいところまで分かっているのか?」と不安に思わずに済むでしょう。
使いすぎると大げさに映ることがある
「委細承知いたしました」は非常にフォーマルで、やや堅苦しい印象を与える表現です。 社内のカジュアルなやり取りや、ごく簡単な指示に毎回使うと逆に浮いてしまう可能性があるため、場面を選んで使うのが無難です。 必要以上に敬語を重ねてしまうと、相手がかしこまりすぎて違和感を持つ場合もあるので注意が必要です。
「委細承知いたしました」と似た表現との違い
「了解しました」との比較
「了解しました」はビジネスでよく使われる返答表現ですが、ややカジュアルな響きがあるほか、「委細」のように“細部まで”のニュアンスは含まれません。 フォーマルな文脈や上司・取引先への対応では、「了解しました」よりも「承知しました」「かしこまりました」の方が適切とされる場合が多く、「委細承知いたしました」はさらに丁寧度と詳細把握を強調する形です。
「かしこまりました」との比較
「かしこまりました」は主に接客業やサービス業でよく耳にする言葉で、「承知しました」以上に相手に対する敬意を示すフォーマル表現です。 ただし、細かな点まで理解しているかどうかを示すニュアンスは強調されないため、「委細承知いたしました」とは方向性が異なります。 「委細承知いたしました」は細部含めて完全に理解した、という意味を相手にしっかり印象づけたいときに使われます。
類義語・言い換え表現
「細部まで承知いたしました」
「委細」の代わりに「細部まで」という語を使えば、同様に「詳しい点まで把握した」という意味が出せます。 「委細」に比べると少しストレートですが、相手が「委細」という表現を難しく感じそうな場合や、場面に合わせて言い換えたいときに使えます。
「詳細まで把握いたしました」
こちらも「細かい情報をすべて理解しました」というニュアンスで、「委細承知いたしました」とほぼ同じ立ち位置です。 「把握」という動詞を用いることで、自分が受け取った内容をしっかり掴んでいるというニュアンスが加わります。
「承知いたしましたので、ご安心ください」
相手に対して「もう細かな点まで理解しているから大丈夫ですよ」という安心感を伝える場合に、あえて「細部まで」や「詳細」などの言葉を使わずにフォローを添える言い方です。 特に上司や顧客が「本当に分かっているの?」と心配している場面で有効です。
ビジネスで「委細承知いたしました」を活用する例文
1. 上司からの指示に対する返信メール
「ご連絡ありがとうございます。 指定いただいた新規案件の要件、委細承知いたしました。 早速、社内手続きを進め、◯◯日までに完了するよう対応いたしますので、今後ともご指示のほどよろしくお願いいたします。」
ここでは、指示を細かく理解し、素早く対応する姿勢を示すために「委細承知いたしました」を使っています。 上司はこの表現を見て「細かいところまでしっかり認識している」と安心できるでしょう。
2. 取引先からの要望に対する回答
「このたびは細かい仕様変更のご要望をいただき、誠にありがとうございます。 委細承知いたしましたので、改めて内部で検討のうえ、可能な対応策をご提案申し上げます。 何か追加でご希望がございましたら、お気軽にお知らせいただければ幸いです。」
取引先の要望を細部まで理解したことを示しつつ、今後の対応策を検討する旨を伝えています。 「委細承知いたしました」を使うことで、依頼内容を軽視していない姿勢がアピールされます。
使い分けのポイント
相手の立場に応じた敬語のレベルを調整
「委細承知いたしました」はかなり丁寧で改まった印象を与えるフレーズです。 相手がフランクな社内メンバーの場合はやや堅苦しすぎると感じられる可能性もあり、「承知しました」「詳細承知いたしました」程度で十分かもしれません。 逆に上司や取引先などに対しては問題なく使える丁寧さといえます。
不要な濫用を避ける
「委細承知いたしました」をあまり多用すると、実は内容をしっかり理解していないのに形式的に言っているだけかと思われる懸念があります。 本当に細部まで把握している場面や、重要な案件を扱うときに使う方が、相手からの信頼を得やすいでしょう。
まとめ
「委細承知いたしました」はビジネス上のやり取りで、「詳細な点をきちんと理解し受け止めました」という意思を相手に伝える非常に丁寧な表現です。 「了承しました」「了解しました」よりもフォーマル度が高く、細部まで理解していることを強調できるのが特徴といえます。
一方、使うからには相手の指示や要望を本当に把握している必要があります。 そのため、簡単な報告や普段の会話で濫用すると、「形式的に使っているだけ」という印象を与えかねません。 重要度や内容の複雑さが高い案件でこそ効果を発揮する表現であり、上司や取引先に安心感を与えられるでしょう。
また、相手によって敬語レベルを調整することも大切です。 社内のフランクなやり取りでは「承知しました」程度で十分ですが、正式な文書やクライアント向けのメールなど、より改まったシチュエーションでは「委細承知いたしました」を使い、より高い敬意と正確な理解をアピールしてみてください。