突出部の北東周縁に位置するベルディン村やその近辺で行われた戦闘は激しいものだった。攻撃するウクライナ軍部隊、防御するロシア軍部隊のどちらにもドローン(無人機)が次々に襲いかかった。ウクライナ軍の歩兵とロシア軍の歩兵は、互いにグレネードランチャー(擲弾発射機)を撃ち合えるほどの接近戦を繰り広げた。
ウクライナ軍のストライカー装甲車1両の乗員は、米国製のこの8輪車両そのものを武器とし、徒歩で逃げまどうロシア兵らに突進して少なくとも1人を轢いた。
薄く雪に覆われた野原であったこの残酷な出来事は、ウクライナ軍の監視ドローン少なくとも2機によって冷徹に観察されていた。映像では重量約17tのストライカー1両が雪原を走り回り、無防備なロシア兵に狙いをつけるように急旋回を繰り返している。
Ukrainian Stryker APC, Out of Ammunition, Crushes Russian Infantry in Kursk Region pic.twitter.com/1brZkwkBme
— imi (m) (@moklasen) January 6, 2025
異例だったのはこの交戦の状況だけだ。ロシア兵たちはなぜ孤立無援だったのか。ストライカーの乗員はなぜ上部に搭載した機関銃で射撃せず、わざわざ大きな労力を費やし、また大きな危険も冒して彼らを直接轢こうとしたのか。
どちらの問いも答えを考えることはできる。ウクライナ軍がかなりの速さで進撃し、ロシア軍の守備隊を奇襲したのであれば、ロシア側のいくつかの陣地や、不運にもそこにいた兵士らの遮断に成功した可能性がある。実際、こうした混沌とした戦闘は、昨年8月にウクライナ軍の強力な部隊が侵攻して以来、クルスク州での戦いの特徴になっている。