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2025.01.07 18:00

中国テンセント株急落、米国防総省の「軍事関連企業」指定で

テンセントの共同創業者で中国3位の富豪であるポニー・マー(Visual China Group via Getty Images)

テンセントの共同創業者で中国3位の富豪であるポニー・マー(Visual China Group via Getty Images)

中国のハイテク大手テンセントは、米国政府の軍事関連企業リストに追加されたことで、投資家心理を冷え込ませた。香港市場に上場する同社株は、1月7日の市場で一時7%急落している。

また軍事関連企業リストには、他の企業も追加されており、上海市場に上場する電気自動車(EV)向けバッテリーメーカーのCATL(寧徳時代新能源科技)の株価も7日午前に約3%下落した。

米国防総省は、米国東部標準時6日に公表した通知で、テンセントとCATLに加えてドローンメーカーのオーテル・ロボティクス(道通智能)などを、中国の人民解放軍に協力しているとされる企業のリストに加えたと発表した。国防総省によるリスト自体は、具体的な制裁措置を規定していないが、米国企業はリストに掲載された企業との取引を控える傾向にある。

テンセントの広報担当者は、軍事関連企業リストに加えられたことが「明らかな誤りだ」とコメントした。「我々は、軍事企業でも軍事関連の供給者でもない。制裁や輸出規制と異なり、このリストは我々の事業に影響を与えない。それでも我々は、誤解を解消するため国防総省と協力する予定だ」と同社はフォーブスに宛てた声明で述べている。

CATLもこのリストに含まれたことが、「誤り」だと述べている。

中国3位の富豪であるポニー・マー(馬化騰)が共同創業したテンセントは、収益源を多様化するために海外展開を積極的に進めている。メッセージアプリのWeChatを所有する同社は、米国のゲーム会社エピックゲームズやEVメーカーのテスラに投資しており、スウェーデンの音楽ストリーミングサービスSpotifyやフィンランドのゲーム開発会社スーパーセルなどの国際的企業に出資も行っている。

CATLは、米国での工場建設に数十億ドルを投資する計画を発表している。同社は、2023年からフォードとの提携でミシガン州にバッテリー工場を建設しており、当初35億ドル(約5510億円)を投資する予定だったが、政治的緊張の高まりを受けてその予算を減らした。CATLは、テスラを含むEVメーカーの主要なバッテリーサプライヤーとして知られている。

国防総省のリストに掲載された企業は、リストから除外されるための手続きを試みることが可能で、中国のスマートフォンメーカーであるシャオミ(小米)は、2021年に米国政府を提訴し、リストからの抜けることに成功した。しかし、ドローンメーカーのDJIやレーザーセンサー開発企業のHesai Technologyなどの国防総省を提訴した他の企業は、依然としてリストに残っている。

この軍事関連企業リストには他に、セキュリティソフトウェアメーカーの360 Security Technologyやスマートフォンおよび通信大手のファーウェイ、深圳市場に上場する遺伝子解析会社のBGI Genomicsらが含まれている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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