OSはWindowsではなくLinux
開発者の多くがLinuxを使っているため、DIGITSもLinuxをサポートしている。Microsoft Windowsをサポートしていないため、少なくとも現時点では汎用PCとはいえない。ジェンスン・フアンは「このプラットフォームはAIユーザーではなく、AI開発者のためのものです。私たちの目標は、すべてのデータサイエンティスト、AI研究者、学生の机上にAIスーパーコンピュータを置き、彼らがAI時代に関与し、その未来をかたち作れるようにすることです」と述べている。Project DIGITSの中核には、新しいPC向けCPU/GPUコンボスーパーチップ「GB10」が搭載されている。興味深いことに、MediaTekはGB10の設計でエヌビディアと協力し、「クラス最高の電力効率、性能、接続性の実現に貢献した」という。これはSoC(システムオンチップ)設計の専門知識を供与していると考えられる。エヌビディアとMediaTekは以前から自動車向けソリューションで協業していたが、ここにきて関係をさらに深めた可能性がある。
今後、エンドユーザー向けAI PCも展開か
開発者向けの超高速AI PCは魅力的だが、もしこれがエンドユーザー向けに展開されれば、PC向けCPUベンダー各社との競合はさらに激化するだろう。Project DIGITSを本格的なAI PCにするには、Microsoft Windowsへの対応が不可欠だ。HP、Dell、Lenovoといった大手PC OEMが新しいスーパーチップをサポートする必要もある。QualcommのSnapdragonによってArm CPUコアがWindows環境に浸透してきたため、Armベースの新プラットフォームをWindowsでテストし認証するハードルは下がりつつあるが、それでも時間はかかる。GTC(GPU Technology Conference)の頃には少なくとも何かしらの発表があり得るかもしれない。実現すれば、エヌビディアにとって数十億ドル規模の新市場が開ける可能性がある。
さらに、エヌビディアが今回発表したさまざまなソフトウェアや、エヌビディアが自動運転の大手であるトヨタを獲得した話題については、まだ詳しく触れていない。それらはまた別の機会に取り上げることにしよう。
(forbes.com 原文)