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2025.01.10 16:45

安全神話への妄信ゆえに緩まる、防犯への意識

Gettyimages/AdrianHillman

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連日報道されている「闇バイト」による事件。日常に潜む犯罪に多くの人が不安を抱いていると思うが、具体的にはどのような防犯対策を講じているのか。「恵比寿不動産」が男女500人を対象に防犯対策についてアンケートを実施した結果、7割以上の回答者が「日常生活において防犯対策をしている」と回答。その具体的な内容や意識の違いを見てみよう。
 
【調査概要】
・調査対象:お住まいの防犯対策・防犯意識について
・調査期間:2024年10月23日~30日
・調査機関:恵比寿不動産自社調査
・調査方法:インターネットによる任意回答
・有効回答数:500人(女性292人/男性208人)
・回答者の年代:10代:0.4%/20代 14.8%/30代 35.2%/40代 30.0%/50代 14.4%/60代以上 5.2%

防犯対策をしていない理由に、隙あり

「日常生活において防犯対策をしているか」の質問には、7割以上の人が「している」と回答。「していない」と回答した人でも、ダブルロックや人感センサー、ディンプルキー、モニター付きインターホンを使用しているなど、住宅の設備が整っているゆえに無意識レベルで対策がなされている場合がほとんどだった。

 
「防犯対策をしていない」その理由としては「賃貸物件なので防犯カメラを設置できない」という物理的な問題のほか、「治安は悪くない」「取られても困るものもない」といった危機感が希薄な意見もあった。

防犯対策1位は「郵便ポストを貯めない」

もっとも多くの人が取り組んでいる防犯対策は「郵便ポストをためない」こと。留守を悟られないようにするだけでなく、個人情報の保護にも役立つ簡単かつ効果的な方法だ。このような「小さな行動が大きな安心につながる」ことは、防犯に限らず他のリスクマネジメントにも通じるように思う。
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長期出張や旅行などで家を空ける場合は、最寄りの郵便局に不在届を提出すると最長30日間は郵便局内で郵便物を保管してくれるので、そのようなシステムを活用して留守であることを外部に知られないようにしたい。
 
防犯対策の2位に挙がったのは「モニター付きインターホン」。具体的には「必ず訪問者を確認してから応対する」「予定外の宅配や来訪者には応じない」などの対策のほかに、「外出の際にはモニターで玄関外を確認してから外に出る」という慎重な行動を心がけている人もいた。
 
防犯対策3位は「ダブルロック」で、外出や寝る時、旅行の際には鍵をダブルロックにするという声が多数あった。玄関ドア以外にも窓のロックを2重にしたり、補助としてサッシにつける鍵を別途購入し取り付けている人もいた。

他にも犯罪者に対して効果的な抑止力となりそうな人感センサーライトや防犯カメラの設置を設置している人も多かった。

ゴミ出し時に「鍵をかけない派」も多数


「ゴミ出し時に鍵をかけるか」という質問では、「かける派」が「かけない派」を僅差で上回った。短時間でも家を無防備にするリスクを避けたいという意識が働く人がいる一方で、ゴミ捨て場が近い場合や家族が在宅している場合、また「面倒くささが勝ってしまう」などが理由で、鍵をかけない人たちも半数近く存在した。住むエリアやライフスタイルによる防犯意識の違いが現れているとは思うが、近頃の犯罪の傾向から犯行前に下見をしているケースも多いため、これまでの習慣やちょっとした油断を改める必要があるのではないか。

 
「現在住んでいるエリアの治安や防犯に不安を感じるか」という質問に対しては「不安がある」「ない」「どちらとも言えない」と回答が分かれた。「どんなところに不安を感じるか」という質問には、「街灯が少ない」「警察署や交番が遠い」「エリアの治安が悪い」といった声が目立った。住まい物件を探す際に、明るくて人通りの多いエリアを選ぶことは、防犯の第一段階になるのかもしれない。

 
今回の調査結果をみると、防犯意識は総じて高めではある。しかし、日本のこれまでの治安の良さが招く油断も見逃せない。日本のように犯罪発生率が低い国では、「短時間だから」「高価な物を持っていないから」といった理由で防犯対策を緩める傾向があるように思う。無防備な姿勢は犯罪の標的になりやすい。油断しない、隙を見せないことが防犯対策の基本であることを改めて認識したいものだ。

プレスリリース

文=福島はるみ

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