「ご了承くださいますようお願い申し上げます」の意味とは?
「ご了承くださいますようお願い申し上げます」は、ビジネスや公式な場面で、相手に事情を理解し受け入れてもらうよう、丁寧に依頼する表現です。 「了承してほしい」「納得してほしい」という意図を含みつつも、上から目線にならずに、「ぜひご理解いただきたい」というニュアンスを伝えられるのが特徴となります。 ここで「ご了解ください」と言うよりも、「ご了承くださいますようお願い申し上げます」とすることで、より敬意を表しつつ、改まったお願いの姿勢を示せます。
たとえば、納期変更や仕様の一部削除など、相手に少なからず不都合や修正を求めるシチュエーションで、「何かを承諾してほしい」心情を伝えるのが「ご了承くださいますようお願い申し上げます」。 これはビジネス文書や取引先向けメール、社内通達においても幅広く使われる定番フレーズであり、相手の負担を気遣いつつも事実上の同意を求める表現です。
なぜビジネスシーンで使われるのか
丁寧に承諾を依頼したい場合
ビジネスでは、納期・契約内容・システム仕様などを一方的に変更したり、調整が必要になったりするケースが珍しくありません。 しかし、ただ「ご了解ください」「ご了承お願いします」と書くと、相手を軽んじている印象を与える可能性もあります。 そこで「ご了承くださいますようお願い申し上げます」という言葉を使えば、より敬意を持って理解をお願いしている態度が伝わり、相手にも嫌味なく受け取ってもらいやすいのです。
相手に対する配慮と誠意を示すため
何らかの事情で相手に受け入れてほしい変更や報告があるとき、自分の事情ばかりを押しつけず、相手の立場を慮っている姿勢を文章化することは大切です。 「ご了承くださいますようお願い申し上げます」は、「この通りご了承いただけるとありがたいです」という形で、相手を尊重しながら協力を仰ぐ文面となり、ビジネス上のマナーとしても高度な印象を与えられます。
ビジネスシーンでの使い方
社外向けメールや文書での活用
取引先や顧客へのお知らせ、契約条件の変更などを伝える文書において、「つきましては、以下の点にご理解・ご協力をいただきたく、ご了承くださいますようお願い申し上げます」という形で使用されることが多いです。 ポイントは、単に了承を求めるだけではなく、変更の理由や背景、メリット・デメリットを丁寧に説明し、相手が納得できる状況を作ることにあります。
社内通達やリスク案内時
社内向けの連絡、例えば部署移動や新システムの切り替え、スケジュールの変更など、何らかの影響が職場全体に及ぶ場面でも「ご了承くださいますようお願い申し上げます」が活躍します。 社員それぞれに負荷がかかったり、計画の再調整を強いられたりするときでも、このフレーズを使うことで「やむを得ない変更だが、どうか理解してほしい」という姿勢を伝えやすくなります。
「ご了承くださいますようお願い申し上げます」を使う際の注意点
内容を明確にし、背景や対策を示す
相手に何かを了承してもらうということは、少なからず相手に調整や我慢を強いる可能性があります。 そこで、「ご了承くださいますようお願い申し上げます」という締め文だけでなく、「何を」「なぜ」「どうして」という具体的な情報をきちんと説明し、納得してもらう努力が欠かせません。 理由を省いて「一方的な要請」と捉えられないよう、背景説明や代替策を示すと効果的です。
度重なる要請に注意する
頻繁に「ご了承くださいますようお願い申し上げます」と言い続けると、「また同じようなお願いばかりしてくる」「いつも何か無理を押しつけられる」と思われかねません。 どうしても致し方ない局面で使うか、連続して使わざるを得ないときには、一層丁寧に事情や謝意を説明し、相手の負担を少しでも和らげる配慮を加えるとよいでしょう。
「ご了承くださいますようお願い申し上げます」と似た表現の違い
「ご理解のほどお願い申し上げます」との比較
「ご理解のほどお願い申し上げます」は、相手に対して納得や理解を促すフレーズです。 一方、「ご了承」は「承認してほしい」「受け入れてほしい」というニュアンスが強く、より相手に対して行為や結果に同意するよう求める意味が含まれます。 「ご理解」は「頭で理解してほしい」という方向性が大きく、「ご了承」は「行動や結果として受け入れる」度合いが強いと言えます。
「了承いただけると幸いです」との比較
「了承いただけると幸いです」はやや柔らかい言い回しで、相手に承諾の意思表示を求めるニュアンスは保ちつつも、「ご理解いただければ嬉しい」という軽いトーンも感じさせます。 一方、「ご了承くださいますようお願い申し上げます」は、よりフォーマルで改まった雰囲気があるため、相手が上司や取引先などかしこまった関係の場合に好適です。
類義語・言い換え表現
「何卒ご了承賜りますようお願い申し上げます」
「賜る(たまわる)」を使うと、相手の承諾を非常に高い敬意で表現する形になります。 よりかしこまった文書や公的通知などで、相手に対して大きな負担や影響をお願いするときに活躍します。 通常のビジネスメールよりも、正式な書類・案内状などに多いかもしれません。
「ご承知おきくださいますよう、お願い申し上げます」
「承知しておいてほしい」「認識しておいてほしい」という意味合いです。 「ご了承くださいますようお願い申し上げます」よりも、やや「理解しておくだけで結構です」というニュアンスが強く、相手の許可や承諾を求めるというより、「知らずに困ってしまうことのないように」と警告する側面が高いです。
「ご了察くださいますようお願い申し上げます」
「了察(りょうさつ)」は相手の事情を察して理解する、という非常にかしこまった表現です。 一般的に使用頻度は低く、文語調の文章や高級な文書で使われる場合がある程度。 「ご了承」の代替としてはやや古風であり、現代ビジネスではあまり多用されません。
ビジネスで「ご了承くださいますようお願い申し上げます」を活用する例
1. 納期遅延のお知らせメール
件名:
納期変更のご連絡
本文:
◯◯様
平素より格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
先日ご注文いただいた◯◯製品につきまして、原材料の調達遅延により納期を◯月◯日へ変更せざるを得ない状況となりました。
大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。 何卒ご了承くださいますようお願い申し上げますとともに、再発防止のため改善策を講じてまいります。
詳細についてご不明点やご要望がございましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。
株式会社△△ 営業部 ××
ここでは「何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます」を使い、相手に承諾を得たい立場でありながらも最大限丁寧な表現を示しています。 納期の変更は相手に負担が大きい可能性があるため、このように重ねて謝罪と理解を求めるのが一般的です。
2. システムメンテナンスの案内文
「このたび、システムメンテナンスのため、◯月◯日(◯)の◯時~◯時までサービスを一時停止させていただきます。 ご利用の皆様にはご不便をおかけいたしますが、性能向上と安定稼働のため、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。 メンテナンス完了後は、速やかにサービスを再開いたしますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。」
メンテナンスはユーザーや関係者にとってサービスを利用できない事態となるため、理解を要請する際に「何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます」を使うと、敬意と配慮が同時に伝わるでしょう。
使い分けのポイント
内容の重大性と相手への影響度
重大な変更や相手への負担が大きい場合は、より丁寧な言葉遣いが望まれます。 「ご了承くださいますようお願い申し上げます」や「何卒ご了承賜りますよう」など、かしこまった表現を使用することで、相手の負担を自覚している姿勢を示せます。
理由と再発防止策もあわせて示す
相手が快く了承してくれるかどうかは、何よりも「なぜそうせざるを得ないのか」と「次に同じことが起こらないための対策」などが十分に説明されているかにかかっています。 「ご了承くださいますようお願い申し上げます」の直前に理由や経緯を簡潔に書けば、相手はより納得しやすいものです。
文化的背景・国際的視点
英語での表現
「ご了承くださいますようお願い申し上げます」に相当する英語表現としては、"We kindly ask for your understanding" や "We would appreciate your understanding" などがあります。 "Please accept our apologies for the inconvenience" と組み合わせる形も多く、承諾と謝意を丁寧に示すフレーズとして用いられています。
海外相手には簡潔で明瞭な伝え方を
日本語のように長い敬語表現は英語圏などであまり使われないため、英語ではやや直接的に「ご理解いただきますようお願い申し上げます」を伝えるケースが主流です。 "I hope you will understand our situation" のようなシンプルな構文で端的に述べ、必要な背景や対策を明確に示すことで十分な謝意と納得を与えられます。
まとめ
「ご了承くださいますようお願い申し上げます」は、ビジネス上で相手に対して何らかの変更や不便を強いる際、丁重に受け入れを促すための表現です。 上司や取引先、顧客に向けて自分の事情を押し通さざるを得ない場合でも、このフレーズを用いることで「相手の立場を尊重しつつ、不可欠なお願いをしている」ことを伝えられます。
ただし、これを使う際には丁寧な言葉遣いに加えて、なぜ相手に了承を求めるのかを明確に説明することが欠かせません。 理由や代替案、対策を示さないまま「ご了承くださいますようお願い申し上げます」だけを連発すると、一方的な依頼として扱われる恐れがあるからです。 英語圏など異文化とのコミュニケーションでは、"We kindly ask for your understanding" のような直接的表現と背景説明を重視するとよいでしょう。
最終的に、相手が納得できる情報量と誠実な説明を添えながら「ご了承くださいますようお願い申し上げます」を使えば、ビジネスにおける信頼関係を崩さずに相手の協力を得ることができるはずです。