だが、知っておいてほしいことがある。たとえ給与に交渉の余地がないとしても、全体としてオファーの内容を改善する効果的な方法は、ほかにも存在する。仕事のオファーの条件を最大限に引き上げて、目いっぱい恩恵を得るためのクリエイティブな戦略を、以下に紹介しよう。
有給休暇の追加を交渉する
無制限の有給休暇を手にしている社員は、仕事への満足度やワークライフバランスの質が高い。にもかかわらず有給休暇は、報酬パッケージの要素のなかで、最も見落とされているものの1つだ。給与に交渉の余地がないなら、条件について改善の余地はないと思ってしまうのは無理もない。だが、もしも1週間長く休暇をとることができ、その間は無給状態や貯金の目減りのストレスと無縁でいられるとしたらどうだろう?
これはけっして夢物語ではない。もしも給与が固定なら、長期休暇、療養休暇、個人的理由での有給休暇を増やせないか、尋ねてみよう。こうした要望を、私生活と仕事の健全なバランスを保ち、職場で最高の成果を上げるためのものと位置づけよう。なんといっても、しっかり充電の時間を取れてこそ、集中を保ちベストパフォーマンスを発揮できることは、紛れもない事実なのだから。
入社ボーナスや転居手当を希望する
給与交渉ができないなら、より多くの報酬を獲得できるよう、ほかの手段に目を移そう。入社ボーナスは、給与固定の業界では極めて一般的だ。企業はこれを、優れた社員を獲得するためのツールとして利用している。入社ボーナスがあれば、新しい仕事を始めるときに、最初から金銭的余裕を持つことができる。また、新しい役職のために転居が必要な場合は、その費用に充てることができる。
では、どんなアプローチをとればいいだろうか? まずは質問してみよう。転居が必要なら、転居費用や一時滞在費用の補助について尋ねよう。転居が必要でないなら、入社ボーナスによって、契約条件はより魅力的になる。
あなたが唯一無二のスキルや経験をその会社にもたらすのであれば、なおさら期待していい。こうした交渉可能な要素は、基本給には影響しないが、転職に際して金銭面での安心感につながる。