島国からの人口流出も深刻に
地理的に孤立し、経済的な機会に恵まれない島国の多くでも、住民の大規模な国外離散が現実のものとなっている。2023年に世界で2番目に急速に人口が減少した国は、太平洋に浮かぶ島国のツバルだ。人口わずか1万人ほどのツバルは、温暖化による海面上昇のために、地球上で最初に消滅する国の1つとも言われている。気候変動によって、住民の国外流出は今後さらに進む可能性が高い。ツバルの外務相は2021年、同地域の住民が共有する絶望感を表現するために膝上まで海水に漬かりながら世界に向けて演説し、島の窮状への注目を集めたことで有名になった。人口規模が小さい小国の場合、統計的な要因により、他の国と比べて人口減少幅が大きくなりやすい。だが、特に島しょ部では、統計的な影響以上に住民の国外流出が深刻化している。
人口減少国として有名な日本は、減少のペースが世界でも10番目に速いとされた。隣国の中国や韓国も近年人口減少に転じ、アジアの人口問題にも注目が集まっている。とはいえ、アジア諸国の開発水準には大きなばらつきがあるため、アジア全体で見ると2023年の人口増加率は0.6%だった。これは米州の成長率とほぼ同じ水準だ。米州には全般的に人口動態の大きな停滞はないものの、特に急増している国もない。一方、大洋州とアフリカでは2023年、人口増加がさらに加速した。
(forbes.com 原文)