Beyond Next Ventures(BNV)は、2015年12月のシリーズAでリード投資家としてエレファンテックに出資。17年8月のシリーズBでも追加投資を行った。同VC代表取締役の植波剣吾が投資した理由とは。
植波:BNVは、大学発などのディープテック領域にフォーカスして投資をしています。そのなかでエレファンテックはど真ん中といえる会社。初回投資した15年は、今ほどディープテック自体が注目されていませんでしたが、清水さんの存在感は当時から際立っていました。
清水:あのころの大学発ベンチャーは、大学教授が立ち上げるケースが多かったですよね。ビジネス界で経験を積んだ人物がこの領域で起業する事例が少なかったこともあって、コンサルティング会社出身の私は目立ちやすかったんです。
植波:私は投資するうえで、苦しいときでも挑戦していける起業家なのかという視点を大事にしています。スタートアップで計画通りにいくことはなかなかありません。実用化までの時間軸が長いディープテックであればなおさらです。実際、清水さんはいくつものハードシングスを乗り越えてきましたよね。
清水:私自身が粘り強い人間かどうかはわからないですが、つらい状況でも、我々のやっていることが、まだ世の中に受け入れられていないだけで、この先には巨大なインパクトがあると信じ続けてきました。特に印象に残っているのが資金調達ですね。毎度、キャッシュが尽きるかどうかのギリギリの状況でしたから。オープンイノベーションという観点では、19年11月のシリーズCで、事業会社に参画してもらうことも大変でした。今でこそ、いろんな会社から提携のお声がけをいただけるようになりましたが、当時はまだ量産にも成功してなくて、100社くらい面談しても、ほとんど興味をもってもらえなかったですから。
植波:でも、最終的にシリーズCは理想的なかたちで着地しましたよね。例えば、リード投資をしてくれたセイコーエプソンは、インクジェット印刷で世界最高レベルの技術をもっていますし、三井化学とはその後、名古屋の量産工場を一緒に立ち上げました。ここまで大企業とのオープンイノベーションがうまくいっている会社はめずらしいと思います。