経営・戦略

2025.01.04 16:00

豪ファストフード王「最も重要なことは問題が起きても倒産しないようにすること」

コンペティティブ・フーズ・オーストラリアの創業者ジャック・カウインと彼の妻(Graham Denholm/Getty Images for NBL)

コンペティティブ・フーズ・オーストラリアの創業者ジャック・カウインと彼の妻(Graham Denholm/Getty Images for NBL)

「ファストフード業界の基本は、コロナ禍を経た今も50年前から変わっていない」と、オーストラリア版バーガーキングの運営元Competitive Foods Australia(コンペティティブ・フーズ・オーストラリア)の創業者ジャック・カウインは述べている。

「食べ物は熱々で、ドリンクは冷やして提供されるべきで、店のスタッフはいつも笑顔でいるべきだ」と、保有資産が約32億ドル(約5020億円)と推定されるカウインは、11月にバンコクで開催されたフォーブス・グローバルCEOカンファレンスで語った。

コンペティティブがオーストラリアで展開するハンバーガーチェーン「ハングリージャックス」(現地でのバーガーキングの名称)は、440店舗を超える国内最大級のファストフードチェーンとなっている。

生活コストの上昇で外食費を抑える人々が増える中、同社は、その逆風に耐えてきた。市場調査会社IbisWorldによれば、オーストラリアのファーストフードとテイクアウト業界の過去5年間の年次成長率は、1.3%で2024年の収益は253億ドル(約4兆円)に達する見込みだ。一方、コンペティティブの6月末までの1年間の収益は、当局への提出書類によると前年比18%増の24億豪ドル(約2340億円)で、純利益は7410万豪ドル(約72億円)に達していた。

それでも、経営の仕方は変わったとカウインは語る。ドライブスルーやテイクアウトの増加、建設費の高騰と規制の変化により、店舗の平均サイズは約20%縮小したという。彼は、「利益を維持するためには、コストを転嫁する必要があるが、真の課題は売上をどう伸ばすかにある」と指摘した。

カウインは、「従業員こそがビジネスの中心だ」と述べている。コンペティティブの店舗の約85%は直営店で、15%は独立フランチャイズ店として運営されているが、「顧客と最も接点がある従業員を大切にすることが会社の原則だ」と彼は主張する。コンペティティブの店舗マネージャーの現在の年収は、数年前の約3倍の20万~30万豪ドル(約1940万〜2900万円)に達しているという。

カウインはまた、自身が会長を務め、最大の株主となっているオーストラリア市場に上場するドミノ・ピザ・エンタープライズ(DPE)の株式を今年初めから2800万豪ドル(約27億2000万円)以上購入し、持ち分を拡大した。同社は米国外で最大のドミノ・ピザのフランチャイズを運営し、アジア太平洋地域と欧州で3700店舗以上を展開しているが、株価は2021年9月の最高値の165豪ドルから80%下落した。
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編集=上田裕資

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