欧州

2024.12.27 09:00

「何でもあり」のロシア軍突撃車両、旧ソ連の大衆車「ジグリ」も登場

旧ソ連の大衆車ブランドである「ジグリ」の小型車「ラーダ・リーバ」のピックアップトラック型。2008年5月、ロシア・ユルザニ(Art Konovalov / Shutterstock.com)

旧ソ連の大衆車ブランドである「ジグリ」の小型車「ラーダ・リーバ」のピックアップトラック型。2008年5月、ロシア・ユルザニ(Art Konovalov / Shutterstock.com)

ロシア軍の最新の突撃車両は、旧ソ連の大衆車ブランド「ジグリ」(現在は輸出向けブランド名だった「ラーダ」に統一)の小型車だったのかもしれない。

ウクライナ東部ルハンシク州かその周辺で最近、ジグリの乗用車2台とみられるロシア軍の車両がウクライナ軍の陣地に向かって突進してきた。1台の色はピンクだった。どちらもウクライナ軍のドローン(無人機)にとって格好の目標だった。
映像によると、ウクライナ側はうち少なくとも1台を撃破したほか、下車した歩兵もしらみつぶしに殺害したようだ。この方面を管轄するウクライナ軍司令部は「われわれは整然と、丹念に、そして容赦なく行動している」と誇っている

ロシア軍はこのところ民生車両を用いた突撃を相次いで行っている。先週にはルハンシク州の南のドネツク州ポクロウシク郊外で、ロシア軍の小隊もしくは中隊規模の部隊がセダンやピックアップ少なくとも計7台に乗り込んで突撃し、撃退されたと報告されていた

とはいえ、ロシア軍は多くの方面で、頻繁に、人員が足りていないウクライナ軍陣地に対して突撃を仕掛けている。一部は、地雷だらけで、砲撃にさらされ、ドローンで監視・攻撃される中間地帯を抜けることになる。

ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトの創設者であるTatarigamiは「ロシア軍は小規模な突撃を繰り返し行い、最終的にウクライナ側の防御の弱点をあばき、そこを突く」と解説している

こうした突撃には乗用車やトラック、バンが使われることが多くなっている。ロシアはウクライナに対する2年10カ月あまりにおよぶ全面戦争で装甲車両を1万両以上失った。これは、国際的な制裁を受けているロシアの産業界が補充できる数をはるかに超えている。ロシア軍の部隊が民生車両に乗って戦闘に向かうようになっているのはそのためだ。

一部の方面のロシア軍司令部はこの秋、民生車両の使用も制限していた。ロシアのある軍事ブロガーによれば、「本当に重要な場合」に備えて温存していたらしい。ジグリ車による今回の突撃はその「本当に重要な場合」だったのかもしれない。

ウクライナのシンクタンクである防衛戦略センター(CDS)は、ロシア軍の作戦司令部は「2025年3月までにドネツク、ルハンシク各州の行政境界線まで到達しようと試みるだろう」と予想している
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ロシア軍が「すべて民生車両」の突撃 装甲車不足いよいよ顕在化

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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