北米

2024.12.27 11:00

右傾化したシリコンバレー、「反ウォーク」を支えるベンチャーキャピタリストたち

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シリコンバレーの一部の投資家が保守寄りの姿勢を強める中、「New Founding(ニュー・ファウンディング)」という団体が、ベンチャーキャピタル(VC)業界に新たなトレンドを起こそうとしている。その計画にはビリオネアのマーク・アンドリーセンも関わっている。

2024年初め、ニュー・ファウンディングと名乗る、誰も知らない団体がケンタッキー州に保守派のキリスト教徒のための隠れ家のような村を建設する計画を発表し、話題となった。この「価値観の合致したコミュニティ」に住む人々は「米国全体に広がる文化的な狂気から離れることができる」と謳われた。しかし、村の建設はその計画の始まりにすぎなかった。

ニュー・ファウンディングはその後、「Woke(ウォーク)」と呼ばれるリベラル派の社会的正義を重視する姿勢に反発する、「文化的および経済的なディスラプション」を目指すスタートアップへの投資を目的とするVCファンドを立ち上げた。この投資会社は、ウォーク主義に反発し、保守的な価値観を基盤にした投資方針を掲げる小規模ながら増加傾向にあるVCの1つだ。

ニュー・ファウンディングの投資活動は、「MAGA(トランプ主義)やテクノロジー主導のキリスト教的世界観に基づく社会改革の推進」という理念を基盤としている。この団体は左派を「反人間的」と批判し、テクノロジーを「新たな繁栄の時代を定義する唯一無二の力」として称賛し、暗号資産を支持し、インターネットをその目的達成のためのツールに位置づけている。

ニュー・ファウンディングのVCファンドは、これまで300万ドル(約4億7000万円)を調達しただけだが、シードステージやシリーズAの企業10社に投資している。その中には、教師が独自の「小規模学校」を立ち上げるのを支援する教育スタートアップや、銃器メーカーが消費者をターゲットにするのを支援する広告テクノロジー企業が含まれる。

最近、同ファンドの主導で400万ドル(約6億3000万円)のシード資金調達を行ったキリスト教系のプロライフの医療保険のスタートアップ「プレシディオ」のダニエル・クルーズCEOは、「彼らは非常にコネクションがあり、我々の戦略の策定を支援してくれた」とフォーブスに語った。
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編集=上田裕資

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