北米

2024.12.27 11:00

右傾化したシリコンバレー、「反ウォーク」を支えるベンチャーキャピタリストたち

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ニュー・ファウンディングのネイト・フィッシャーCEOは、同社の投資は「パラレルエコノミー」の始まりであり、同社が過剰に左派寄りだと考えるグーグルの広告テクノロジー製品の保守的なバージョンなどを支援していくと語っている。

マーク・アンドリーセンが出資

シリコンバレーの、少なくとも1人の大物がこれに賛同している。VC大手アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)の共同創設者で、ウォーク主義に反対してきたマーク・アンドリーセンがその人物だ。彼は、ニュー・ファウンディングのVCファンドに小規模ながら投資しており、3人の情報提供者によると、6桁の金額をリミテッド・パートナーとして出資したという。
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一方で、他のシリコンバレーの有名人たちも、ニュー・ファウンディングのポッドキャスト番組に次々と登場している。A16zの「アメリカン・ダイナミズム・ファンド」を率いるパートナーのキャサリン・ボイルや、防衛スタートアップ、アンドゥリルの会長のトレー・スティーブンス、傭兵企業ブラックウォーターの創設者のエリック・プリンスなどがゲストとして招かれている。 

彼らは、愛国主義や米国の製造業復活、米軍向けの武器製造を支援する「テックカウンターカルチャー運動」の一端を担っている。

また、一部の投資家は、このような政治運動が堅実なリターンに繋がると考えている。イーロン・マスクと共に政府効率化省(DOGE)の共同議長に就任予定となっているVC投資家のヴィヴェック・ラマスワミは、自著の『Woke Inc(ウォーク株式会社)』で「ステークホルダー資本主義」を批判した後、2022年に「ウォーク的理想」を企業に放棄させることを目的とした投資会社を立ち上げた。
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一方、別の投資会社の1789キャピタルは最近、トランプ次期米大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニアをパートナーに迎えた後に始動した。同社は150億ドル(約2兆3700億円)以上の成長株投資ファンドを組成して、反ウォークの投資を行っていく方針で、ポートフォリオには、メーリングリスト「サブスタック」や動画プラットフォーム「ランブル」などが含まれている。

1789キャピタルの代表のオミード・マリクは、セコイアのようなVCは、「明らかな文化的・政治的変化を長い間無視してきた」とフォーブスに語った。「彼らは中国専用のファンドを設立し、中国に投資するために努力してきた企業だ。しかし、追い風が逆風に変わったことで、最近になってようやくその方針を止めた」と彼は述べた(セコイアはコメント要請に応じていない)。
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編集=上田裕資

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