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2025.01.10 11:00

データと想像力がユーザーを救う 銀行×セキュリティスタートアップの新結合

金融犯罪対策のプロフェッショナルが、三井住友銀行と挑むサイバーセキュリティの新しい地平。双方の提携で、口座の不正開設や不正利用の「入り口を防ぐ」。


昨今の金融システムの悪用多発は社会課題だ。特殊詐欺の犯罪収益は、不正に開設された銀行口座を介して資金洗浄されるなど、リスクは高まっている。

不正検知プラットフォームを展開するACSiON(アクシオン)と三井住友銀行が、こうした問題をより早く未然に防ぐため、業務提携した。その意義を、アクシオン代表の安田貴紀、事業企画部マネージャーの稲葉佳代子、三井住友銀行理事でリテールリスク統括部長の毛利智樹、同部企画第二グループ長の立浪亮介が語り合った。

稲葉佳代子(以下、稲葉):金融犯罪を防ぐには、インターネットバンキングにおける取引振りや、口座の動きなどに不自然なパターンはないかを多様なデータから分析する必要があります。その点、メガバンクのデータは膨大です。業務提携により、御行から個人情報を伏せたデータや分析結果を提供していただき、さらに深く分析できるようになりました。そのおかげで不正検出の質が飛躍的に向上しています。

立浪亮介(以下、立浪):他社、他行で何が起こっているのか知るメリットは我々にもありました。犯罪者側はターゲットを常に変えているため、こちらが狙われる前に先手を打つことができるからです。

毛利智樹(以下、毛利):お客様は、安全だと信じて銀行のサービスを利用していると思います。しかし1件でも被害が出れば「私も危ないかもしれない」と不安になるものです。だからこそ未然防止型のリスク管理モデルが必要ですが、それを構築するには自行の情報量では足りません。外部企業との連携・提携はマストでした。最初の取り組みとして、「口座不正申し込み・不正利用への対策」「本人確認書類真贋(しんがん)判定による不正検知能力の向上」に注力します。
三井住友銀行理事/リテールリスク統括部長 毛利智樹

三井住友銀行理事/リテールリスク統括部長 毛利智樹

安田貴紀(以下、安田):「入り口で不正を防ぐ」のは金融犯罪対策の基本。不正口座開設を許すと、金融機関は被害者への対応、口座凍結、捜査機関への協力などに多くの時間と労力を費やさざるをえません。不正対策はコストととらえられがちですが、犯罪の傾向や兆候をつかんで未然に防いだり、迅速に対応することができれば、トータルではコストが下がる。私たちアクシオンの専門性を生かし「防ぐ力」の強化に役立ちたいです。

対策には「想像力」が必要だ

毛利:セブン銀行で金融犯罪対策の「陣頭指揮」を取られていた安田さんのような方がいらっしゃるアクシオンと提携できて、当行としても大変心強い。

立浪:アクシオンの力を借りながら、「犯罪者が口座をつくりにくい、対策がしっかりしている」というイメージを確立したいですね。そのためには、不正に関する情報は提供できる限り提供するつもりです。
三井住友銀行リテールリスク統括部企画第二グループ長 立浪亮介

三井住友銀行リテールリスク統括部企画第二グループ長 立浪亮介

稲葉:御行から頂いた不正な申し込みに関する情報を踏まえて分析していますが、我々アクシオンの研究でこれまで見えなかった不正行為の手口や犯罪者のペルソナ(特徴)がわかってきました。特に海外からのアクセス経路や申し込みに関するプロセスの詳細が浮き彫りになり、新たな対策に活用しています。

毛利:不正申し込み、不正利用の事例を見ると、「そんな手を使うのか」と驚かされることがある。対策を打つには分析力に加え、想像力も必要ですね。

安田:私たちは自分が攻撃者だったらどのサービスを、どんなタイミングで、どのように悪用するのかと考え、新たな手口について仮説を立てます。そして実際の犯罪事例やデータを用いて検証する。この仮説検証のプロセスを通じて、通常の取引と区別が付きにくい不正を見つけることが可能になります。

稲葉:アクシオンの仮説検証を御行での対策に生かし、精度を上げる。この循環が重要です。なぜなら金融犯罪対策は属人化しやすい面があるからです。

立浪:おっしゃる通りです。

稲葉:どの金融機関にも経験豊富で分析力に長けた担当者が、幅広いセキュリティの実務を担っています。しかし、持続可能で効果的な対策を行うには、個人のスキルやモチベーションを生かしながらも組織全体で取り組む体制がデファクトスタンダードであるべきです。今回の業務提携がその足がかりになると感じています。

利便性を下げず、セキュリティを高める

安田:毛利さんに初めてお目にかかったとき、「便利な金融サービスは犯罪者にとって都合がいい場合がある。利便性を下げずに犯罪を防ぐのが大事だ」とおっしゃっていたことを今でもよく覚えています。
ACSiON 代表取締役社長 安田貴紀

ACSiON 代表取締役社長 安田貴紀

毛利:複数回パスワード入力を求めたり、本人確認を厳格化したりすればセキュリティの強化にはなりますが、利用者の手間が増える一方です。

安田:顧客には使いやすく、犯罪者には不便。これが理想ですよね。御行の「Olive(オリーブ)」はひとつのアカウントで銀行口座、クレジットカード、証券、保険と連携する画期的な個人向け金融サービスです。この商品性を理解して、有効な不正対策をしたいですね。

毛利:リアルとデジタルのハイブリッドモデルへの転換を目指して開発したのがOliveです。2023年3月にリリースして以来、口座数が急増したのはうれしかったのですが、使いやすいほど犯罪者に狙われやすいというジレンマがある。

立浪:新しいサービスだからとりあえず破れるかチャレンジしてくる犯罪者も多いです。近年ではeKYC(electronic Know Your Customer)と呼ばれる仕組みを使って、運転免許証など本人確認資料と顔写真をスマホなどで撮影してアップロードしてもらい、それらを照合して本人による申請かどうかを確認する方法が主流ですが、生成AIの悪用も増えている。ディープフェイク(偽画像)技術で偽造された書類、顔写真で本人確認をすり抜けようとするケースも出ています。

稲葉:今回の提携で目指す「本人確認書類真贋判定による不正検知能力の向上」を強化しなければならないゆえんですね。 
ACSiON 事業企画部マネージャー 稲葉佳代子

ACSiON 事業企画部マネージャー 稲葉佳代子

リスク管理のデファクトスタンダード

毛利:逆説的ですが、これからのリスク管理にはマーケティング能力が必要だと思います。「売る」マーケティングと「止める」マーケティングです。

安田:まさに。ロイヤルカスタマーを見つけるのも、犯罪者を見つけるのも、同じデータセットを使っています。マーケティングの視点が不正対策に役立つことも、その逆もありうる。

立浪:不正対策のためのシステムが利用方法次第で、より利便性の高いサービスの開発に生かされることは十分ありえますね。

安田:それこそ不正対策がOliveの商品性に生かされると面白いですね。

毛利:当行は01年の合併以降、個人金融ビジネスのデファクトスタンダードを目指してきました。現在のOliveもその流れの一環として、デジタルビジネスモデル改革を進めています。表面的なサービスだけでなく、利便性を維持しながら安全性を確保するリスク管理の分野でも業界のデファクトモデルを確立し、先導的な役割を果たしたいと考えています。

安田:そして、どの金融機関にとっても有益なセキュリティ体制が整えられたらと思います。「不正利用への対応は、競争ではなく、協力であるべき」。当社アクシオンの設立の背景にある考えです。今回の業務提携でその理念を具体化します。

アクシオン
https://www.acsion.co.jp/

メインカット:三井住友銀行青山武広(リテールリスク統括部副部長)、毛利智樹(リテールリスク統括部長/三井住友銀行理事)、前列左から、横山綾子(同部企画第二グループ部長代理)、立浪亮介(同部企画第二グループ長)。写真後列右からACSiON安田貴紀(代表取締役社長)、瀧下孝明(取締役副社長)、小澤一仁(エグゼクティブアドバイザー)、前列右・稲葉佳代子(事業企画部マネージャー)。

Promoted by アクシオン | Text by Shinya Midori | Photographs by Shunichi Oda