グローバルな事業拡大を目指すスタートアップにとって、アメリカやインド、中国といった巨大市場の魅力は言うまでもありません。しかし、これらの国々は距離が遠いだけでなく、ビジネス文化や規制環境、消費者行動が大きく異なるため、高いハードルが存在します。一方で、日本や韓国のスタートアップが互いの国に進出する場合は、比較的ハードルが低いと言えるでしょう。まず、時差がほとんどないため、シームレスなコミュニケーションが可能です。日本語を話せる韓国人や、韓国語を話せる日本人が多いことも利点です。また、文化的な「常識」も互いが思っている以上に似ているため、文化が大きく異なる地域と比べて相互調整の負担も少なく、より迅速な成果が期待できます。
実際、日韓のより密接な協力には非常に大きな潜在的メリットがあります。近年、両国では政府の積極的な支援や既存企業とのコラボレーションの奨励により、活気あるスタートアップ・エコシステムが育まれています。スタートアップ企業が日本と韓国の両国に進出できれば、合わせて1億7500万人を超える市場を基盤とした成長戦略を描けるでしょう。両国のGDPも合計すると約6兆ドルとなり、「日本・韓国経済圏」として米国と中国に次ぐ世界第3位の経済規模となり得ます。
東京とソウルの起業家にとって、次の大きなチャンスは、すぐ近くにあるのかもしれません。
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