同社は、2024年度第3四半期(Q3)決算で市場予想を上回る業績を達成した。純収入は前年同期比13%増の74億ドル(約1兆1600億円)となった。いくつかの要因が同社の成長を牽引している。ひとつは、海外旅行の増加とeコマースの成長に牽引され、クロスボーダーの取扱高が前年同期比で17%増加したことである。ドル総取扱高も10%増加し、スイッチ・トランザクション数は11%増加した。スイッチ・トランザクションとは、マスターカードのプラットフォームを通じて処理される取引を指す。
さらに、付加価値サービスおよびソリューションからの収入は、同社のコンサルティングおよびマーケティング・サービスに対する需要の増加、ならびに不正行為・セキュリティおよびID・認証ソリューションの拡大により、当四半期に18%増加した。調整後の純利益は前年同期比約12%増の36億ドル(約5700億円)で、一般管理費の増加により、収益より若干伸びが鈍化した。
過去3年間におけるマスターカード株の年間リターンは、S&P500よりもかなり変動が少ない。2021年の年間リターンは1%、2022年はマイナス3%、2023年は23%であった。
マスターカードの株価を今後押し上げる可能性のあるトレンドがいくつかある。米連邦準備制度(FRB)による最近の金利引き下げは、借入コストの削減を助け、クレジットカードへの支出を促進し、マスターカードの取引量と手数料収入に直接利益をもたらす可能性がある。さらに、マスターカードがアジア、中東、アフリカなどの新興市場での事業拡大に投資していることは、その認知度の高いブランドと、デジタル化やキャッシュレス化を推進する動きが強まっていることを考えれば、同社にさらなる成長の余地を与える可能性がある。
加えて、マスターカードは株主還元も強化している。同社の取締役会は最近、新たな自社株買いプログラムを承認し、最大120億ドル(約1兆8900億円)の自社株買いを許可した。同社はまた、四半期配当を従来の0.66ドルから0.76ドルに引き上げている。私たちはマスターカードの目標株価を約518ドルとしており、これは米国時間12月24日時点の株価である約535ドルよりも低い水準だ。
(forbes.com原文)