1. メタはLlamaモデルの利用を有料に始める
メタは「オープンソースAI」の世界的代表とされてきた。企業戦略の興味深い事例として、OpenAIやグーグルなどの競合が最先端モデルをクローズドソースにして利用料を課している一方、メタは最新のLlama(ラマ)モデルを無償で提供してきた。そのため、2025年になってメタが企業向けにLlamaの利用料を徴収し始めることは、多くの人にとって驚きとなるだろう。
誤解のないように言うと、メタがLlamaを完全なクローズドソースにするわけでも、Llamaモデルを使うすべてのユーザーに課金を強制するわけでもないと予測している。
むしろ、メタがLlamaのオープンソースライセンス条件をより制限的に変更し、一定規模以上の商用利用を行う企業にはモデル使用の対価を支払わせるだろう、という予測である。
実のところ、メタはすでに限定的にこれを始めている。クラウドハイパースケーラーや月間アクティブユーザーが7億人を超えるような巨大企業には、Llamaモデルを無償で自由に使わせていない。
2023年当時、メタのマーク・ザッカーバーグCEOはこう述べていた。「もしマイクロソフト、アマゾン、グーグルのような企業が、Llamaを実質的に再販するかたちで使っているなら、それに対する収益の一部をわれわれが得るのは当然だと考えている。すぐに大きな収益になるとは思わないが、長期的にはある程度の収益源になってほしい」
2025年、メタはLlamaの有料利用を求める企業の範囲を大きく拡大し、より多くの大企業や中規模企業を対象に含めるだろう。
なぜメタはこうした戦略転換を行うのか。
大規模言語モデル(LLM)の最前線にとどまり続けるには膨大なコストがかかる。OpenAIやAnthropicなどの最新モデルに肩を並べるだけでも、メタは今後も毎年数十億ドル(数千億円)単位の投資を継続しなければならない。
メタは世界有数の資金力を持つ企業だが、最終的には株主に責任を負う上場企業でもある。先端モデルの開発コストが高騰するなか、収益がまったく見込めないまま次世代のLlama訓練に巨額の予算を投じ続けるのは、もはや現実的ではない。
ただし、ホビイストや研究者、個人開発者、スタートアップなどは、2025年も引き続きLlamaモデルを無償で利用できるだろう。しかし2025年は、メタがLlamaを本格的に収益化し始める年になると考えられる。