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ビジネスモデルの歴史を描いた『ビジネスモデル全史』、経営戦略の歴史を描いた『経営戦略全史』の著者として知られるK.I.T.虎ノ門大学院の三谷宏治教授に、現在のビジネスモデルのトレンドに関して「革新的なビジネスモデル」を生み出した先駆的な企業をあげて解説してもらう。

1. フリーミアム
フリーミアムは、FreeとPremiumを合成した言葉で、「何かを無料にして儲ける」というビジネスモデルである。最近、ニューヨーク証券取引所に上場し、時価総額25兆円となった中国最大の電子商取引(EC)を手がけるアリババ集団などもこのモデルだ。

 それらは、①内部補助型、②第三者補助型、③一部利用者負担型、④ボランティア型に分類できる。具体的には、①配送料をタダにして売り上げ増で儲けるアマゾン、②コンテンツやサービスはタダにして広告で儲けるグーグル、③閲覧側はタダにして作成側のソフトで儲けるアドビ、買い手側はタダにして売り手側への手数料で儲けるペイパル、ゲーム自体はタダにしてアイテム課金で儲けるグリーやLINE、基本サービスはタダにして一部の有料会員で儲けるエバーノートやドロップボックス、④ボランティアによる評価や記事をタダで公開し、価値を高めてトラフィック広告や送客手数料で儲ける価格.com―などだ。(中略)
 ちなみに、「フリーミアム」という言葉は、WIRED編集長だったクリス・アンダーソンの著書『フリー』によって広められた。同氏も、最初に同書の全文を期間限定で閲覧可能にしたことで30万部が無料ダウンロードされ、有料の本自体も大ベストセラーになるなどフリーミアムを行った。
 とはいえ、多くのスタートアップ企業が「フリーミアム・モデル」を掲げて事業をスタートしたが、時間と資金が必要となるため、ゲーム以外ではほとんど失敗しているのが現実である。フリーミアムは、決して簡単な収益モデルではない。

(中略)
6. オムニ・チャネル
 オムニ・チャネルとは、ネット販売とリアル店舗を融合させたモデルで、具体的には小売店などが自社のオンラインストアの売り上げを大きく伸ばすとともに、リアル店舗の売り上げも向上させるビジネスモデルだ。

 成功した企業は、百貨店のメイシーズ。百貨店業界は、顧客がリアル店舗をショールームのように使う「ショールーミング」や、主力のブランド品がファストファッションにシェアを奪われたことに加え、ネット事業者に出品もしくは自社展開でネット販売が行われたことで、大打撃を受けた。百貨店大手のJCペニーは2010年からの4年間で3割の売り上げ減、シアーズも15%減となった。
 そのなかで、売り上げを2割近く伸ばした同社は、新CEOに就任したテリー・ラングレンが傘下の百貨店をすべてメイシーズとブルーミングデールズに再ブランド化するとともに、ローカル対応させるなど大きな改革を断行した。そのモデルこそ、「オムニ・チャネル」である。
 同モデルの目的は、顧客への対応を一元化することであり、「オンラインからリアル店舗への送客」と「リアル店舗からオンラインへの誘導」をスムーズに行うこと。具体的には、リアル店舗での在庫情報もリアルタイムで把握するシステムを構築し、オンラインストアと統合。相互の送客・誘導を可能にした点にある。そのため、オンラインで売り切れていても、店舗にあれば直送する、店舗に在庫がなくても他店舗やオンラインストアにあればその場で販売・配送手配ができるようにするなど、シームレスのサービスを可能にし、顧客から支持を受けている。(以下略、)

三谷宏治

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