ジャンパーは、ノーベル賞受賞の知らせを受けたとき、携帯電話に表示されたスウェーデンの市外局番を見て体が凍りつき、これから起きることが信じられなかったという。
「まさか本当に受賞するとは思っていませんでした」と、ジャンパーはフォーブスに語った。彼とハサビスは、別の研究でまったく新しいタンパク質を設計することに成功した米ワシントン大学の研究者のデイビッド・ベイカー教授と並んで今年のノーベル化学賞を受賞した。
DeepMindのAIモデルであるAlphaFoldは、現代科学の中で最も難しく、かつ可能性に満ちた課題の1つであるタンパク質の形状や構造を予測する医学や生物学の研究に革新をもたらした。従来、タンパク質の複雑な構造をX線や電子顕微鏡を使って調べる実験は多くの時間と手間がかかり、費用もかさんだが、ジャンパーらが開発したこのAIモデルは、その時間や費用を劇的に削減した。
2017年にDeepMindに参加したジャンパーは、39歳でノーベル化学賞を受賞した。彼は、1958年に35歳でノーベル化学賞を受賞したフレデリック・ジョリオ=キュリーに続く若さでこの賞を受賞した。フォーブスは、この賞の受賞直後のジャンパーにインタビューを行い、受賞の感想やAIの現状、AlphaFoldの構築をテーマに話を聞いた。
──まずは受賞おめでとうございます。ノーベル賞の発表直後のインタビューで、自分が受賞する確率は10%だと考えていたと話していましたが、どのようにして受賞を知り、どんな気持ちでしたか?
発表の前日の夜は、緊張してほとんど眠れませんでした。朝起きてから、どちらにしても結果を知るつもりでしたが、発表予定時間の約1時間前に妻に向かって『今年は無理だと思う』と言ったんです。すると、その30秒後にスウェーデンの市外局番が携帯に表示されたんです。
私自身の記憶はあいまいですが、妻によると、私はその番号をしばらくじっと見つめていたそうです。彼女が電話に出るように叫ぶまで。まさか自分が受賞するとは思いませんでした。