宇宙

2024.12.24 12:30

クリスマス飾りのようなオリオン大星雲を眺め、水星と細い月を堪能する今週の夜空

オリオン大星雲(M42、右)とランニングマン星雲(NGC1977、左)。45分露出で撮影(Shutterstock.com)

オリオン大星雲(M42、右)とランニングマン星雲(NGC1977、左)。45分露出で撮影(Shutterstock.com)

クリスマスと年越しの準備で何かと慌ただしい12月だが、晴れてさえいれば星空観察の条件は完璧。北半球では夜のとばりが早く下りるものの、南東の空にきらめく星々はとりわけすばらしいので、ぜひ外に出て空を眺めてみてほしい。
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まず、オリオン座の明るい「三つ星」(オリオンのベルト)が縦一列に並んで昇ってくるのが見えるはずだ。左右には青く輝く1等星リゲルと、赤みがかった1等星ベテルギウスを従えている。さらに上方へ目を向ければ、おうし座の1等星アルデバランがオレンジ色の光を放ち、散開星団のプレアデス星団(すばる)が瞬いている。これらは12月の夜空で見るべき明るい星や美しい天体のほんの一部だ。

オリオン座(Shutterstock.com)

オリオン座(Shutterstock.com)

それでもまだ、寒い屋外にあえて繰り出す理由がもっと欲しいという人もいるだろう。そんな読者のために、12月第4週の夜空の見どころについてまとめた。

12月25日(水):スピカ食

未明におとめ座の1等星スピカと下弦の三日月が大接近し、月がスピカを隠す恒星食「スピカ食」が起こる。日本の広範囲で見ることのできる、早起きのごほうびだ。午前3時ごろに南東の空を見てみよう。

日の出の1時間ほど前になると、「西方最大離角」を迎えた水星が、さそり座の1等星アンタレスと共に昇ってくる。赤みがかった暗い星が水星、明るいほうがアンタレスだ。
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「西方最大離角」を迎えた水星。2018年1月1日撮影(Alan Dyer/VW Pics/UIG via Getty Images)

早朝の南東の空で「西方最大離角」を迎えた水星。2018年1月1日撮影(Alan Dyer/VW Pics/UIG via Getty Images)

12月28日(土):細い月、アンタレス、水星の共演

この日も少し早起きして、日の出の約1時間前から南東の空を眺めよう。明け方の低空で、細い下弦の月とさそり座のアンタレス、水星が並ぶ珍しい光景が見られる。

12月29日(日):細い月とアンタレスが接近

さらに細くなった月が、明け方の南東の低空でさそり座のアンタレスとランデブーする。やはり日の出の1時間前から観察するといい。

今週の天体:オリオン大星雲

オリオン座の「小三つ星」(Shutterstock.com)

オリオン座の「小三つ星」(Shutterstock.com)

望遠鏡があれば、オリオン大星雲(M42)を覗いてみてほしい。狩人オリオンの腰に巻かれた三つ星のベルトから垂れ下がるように、暗い星が縦に3つ並んでいる(小三つ星)。これは「オリオンの剣」で、その真ん中の星に見えるのがオリオン大星雲だ。

M42はガスと塵でできた散光星雲で、地球から約1300光年離れた場所にある。ここは天の川銀河の中で、今まさに新しい星が誕生し続けている現場だ。地球から見える最も明るい星雲として知られ、肉眼でも簡単に見つけられるが、小型望遠鏡で観察するといっそうすばらしい眺めが楽しめる。

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した520枚の画像を重ねて作成した、オリオン大星雲の最も鮮明な画像。オレンジ色は水素、緑色は酸素、赤色は硫黄と赤外線による観測結果を示している(NASA, ESA, M. Robberto (Space Telescope Science Institute/ESA) and the Hubble Space Telescope Orion Treasury Project Team)

ハッブル宇宙望遠鏡が異なる波長で撮影した520枚の画像を重ねて作成した、オリオン大星雲の最も鮮明な画像(NASA, ESA, M. Robberto (Space Telescope Science Institute/ESA) and the Hubble Space Telescope Orion Treasury Project Team)

肉眼や双眼鏡で観察する際は、少し横目に見ると、星雲の明るさをよりはっきりと感じられる。
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forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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