若者の海外留学者数は、アメリカ、ドイツ、フランスの各国で10万人を超えるが、日本は横ばいに5万人台で推移しており、先進国のなかでも極めて少ない。バブル期に5位以内だった日本の世界競争力はいま34位に転落しているというが、そこにはさまざまな要因があるに違いない。
日本の世界競争力を支えていく「グローバルエリート」のような若者たちは、いまどこにいるのだろうか? 受験という文脈で思い浮かぶのは、高校なら開成や女子学院、大学なら東大などだが、偏差値と世界競争力を担う人材は必ずしも一致しないだろう。今回は教育の多様性という観点から切り取って考察したい。
2024年12月某日、慶応義塾大学、早稲田大学、上智大学の「グローバルエリートの卵」を体現するような学生たちから話を聞いた。彼らの辿ってきた道は多種多様だ。その経歴は華々しい一方、多くは地方出身者であり、さらには大学進学者がほとんどいないような環境で育った者もいる。子供の将来性や優秀さの物差しは、エリート教育一辺倒で決まるわけでもないことがわかる。子育て中の親でなくとも、受験までの道のりについて、聞いてみる価値があるだろう。
長谷川悠里(以降、長谷川):まず多様性という観点から聞きましょう。みなさんは、どのような高校生活を送ってきましたか?
松元まりあ(以降、松元):わたしは福岡県出身でパリ政治学院に一年留学したのですが、高校時代に英語圏の大学留学に必須といわれているTOEFLibtを受けています。ibtはおそらく最も難易度が高いとされるもので、学術的な側面からな能力が測られる資格試験です。