働き方

2024.12.25 09:30

社員から企業への「復讐」リベンジ退職が2025年に急増する可能性

Ariya J / Shutterstock

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いま、あちこちの職場で「リベンジ退職」と呼ばれるトレンドがささやかれている。社員が仕事へのフラストレーションを表明し、大企業による「ステルス解雇」といった有害な職場のトレンドに対して復讐を始めているというのだ。

筆者が取材したビジネスリーダーたちは、2025年には「リベンジ退職」の風潮が高まり、ますます顕著になるだろうと予想している。

「リベンジ退職」とは何か?

「リベンジ退職」とは、社員が大企業に対して反撃する風潮のことだ。具体的には、過小評価や燃え尽き、社風との乖離といったネガティブな体験に直面した社員が、突然退職することを指す。

専門家によればこのようなトレンドは、ここ数年で顕著になった労働環境の進化と、テクノロジーの急速な発展がもたらす不可避の結果であり、仕事への期待が世代によって変化したことも合わさって、シフトが加速している。

MasterClass at Work(マスタークラス・アット・ワーク)で学習デザイン・戦略担当責任者を務めるジョン・スコットは、Eメールで取材に回答し、「怒りの退職(社員が何の前触れもなく、劇的な形で退職という手段に訴えること)」や「怒りの応募(積年のフラストレーションや決定的な出来事をきっかけに、社員が数多くの求人に立て続けに応募して転職すること)」といった現象が起こっていると述べた。

スコットは、2025年の雇用市場は改善するという予測が現実のものになれば、こうした「リベンジ退職」はますます活発化するだろうという見通しを述べた。同氏によれば「リベンジ退職」とは、鬱屈したフラストレーションを背景に、転職機会を目の前にした社員が迷わず飛びつくことを指す。

Glassdoor(グラスドア)の報告書「ワークライフ・トレンド2025」によれば、社員の65%は現在の役職に行き詰まりを感じている。こうした不満に対処しないかぎり、鬱屈した負の感情が噴出し、2025年は「リベンジ退職」の大波が押し寄せるだろう、とこの報告書は述べている。

人事評価サービスを提供するSHLのシニアコンサルタント、マレーズ・ベスター博士は「リベンジ退職」について、社員が大起業に対抗する手段と見ている。同氏の考えによれば、LinkedIn(リンクトイン)やグラスドアといったプラットフォームが普及し、他者の成功を推し量る手段が充実したことで、「隣の芝生は青く見える」ようになった。「リベンジ退職」を回避するのは雇用主の役目だ、とベスターは述べ、企業がリスクを最小化する方法を提案した。

「結局のところ、リベンジ退職とは、人々がこれまでほとんど力をもってなかったところで、自ら主導権を握ることだ」とベスターは説明する。「雇用主は、メッセージに耳を傾けるべきだ。進化しなければ、最も優秀な社員を失うことになる。時代遅れなビジネスモデルに拘泥し、柔軟性を取り入れることを拒み、社員の声を無視する企業は、最も打撃を受けるはずだ。現在の働き手は、選択肢やツール、より良い労働環境を要求するだけの自信をもっている。そして、こうした要求が満たされなければ、ためらうことなく退職するだろう。これは単なるトレンドではなく、急速に変化する職場の現実に適応せよという、企業にとっての警鐘なのだ」
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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