医療ジャーナルのJAMAに12月19日に掲載された論文によると、寒さが主な要因とされる死亡者数は、過去24年間で合計4万79人に達したという。また、10万人あたりの死亡率は、1999年に0.44だったが2022年には0.92に増加し、109%の上昇率を記録した。
寒さに関連する死亡は、75歳以上の高齢者に最も多かったが、増加率は45歳から74歳の年齢層で最も高く、男性は女性よりも寒さ関連の死亡リスクが高いことが判明した。
また、人種別では、アメリカ先住民やアラスカ先住民、そして黒人が寒さ関連の死亡率が最も高いグループである一方で、ヒスパニック系と白人は年間死亡率の増加幅が最大だった。
ボストンのベス・イスラエル・ディーコネス医療センターやハーバード医科大学、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究者によるこの論文は、寒さに関連する死者数の増加を招いた要因として、冬の極端な天候が増えたことや、ホームレスや社会的孤立、薬物使用などのリスク要因の増加を挙げている。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)の科学者たちは、加速する北極の温暖化が記録的な寒波の一因になっていると指摘している。この現象は、北極の極渦(北極周辺の成層圏に存在する強力な風帯)の弱体化を招いており、極端な寒さがアジアや北米の一部に流れ込む原因となっている。NOAAによると、極渦の弱体化により10月から2月にかけて寒冷な気候が南下する事例が増加しているという。
極端な寒さは、極端な暑さよりも死亡リスクがはるかに高く、低体温症や凍傷、既存の持病の悪化を引き起こすほか、ウイルスに対する体の抵抗力を低下させる。
今回の論文では、アメリカ先住民やアラスカ先住民、黒人の間における寒さに関連する死亡率が最も高いことが指摘された。これらの人々は、家の暖房設備の欠如などのリスク要因の影響を受けやすい傾向がある。
この論文はまた、黒人世帯が他の人種グループよりも高い割合でエネルギー関連の不安を経験していることを示している。エネルギー省の報告によれば、2021年7月から2023年5月の間にエネルギー不安を経験した世帯の36.4%が黒人世帯で、34.9%がヒスパニック系、19.9%がアジア人、19.7%が白人の世帯だった。
さらに、アメリカ先住民とアラスカ先住民は、結核やアルコール依存症、糖尿病、偶発的な怪我、肝疾患などのさまざまな原因で、他のアメリカ人よりも高い死亡率を示していた。
(forbes.com 原文)