宇宙

2024.12.24 10:30

重力が強力でも恒星が存在、銀河系中心のブラックホール近傍で「連星」を初検出

いて座からさそり座の方向にかけて縦20度横34度の範囲の銀河系中心領域を捉えた驚異の3億4000万画素画像。南米チリのパラナル天文台で52の異なる天の領域を撮影した約1200枚の画像を合成して作成(ESO/S. Guisard (www.eso.org/~sguisard))


ガスと塵

論文の共同執筆者で、チェコ・マサリク大学とケルン大の研究者のミハル・ザヤツェクは「D9系は、星の周囲にガスと塵(固体微粒子)が存在する明確な兆候を示している。これはD9が、超大質量ブラックホールの近くで形成されたに違いない、非常に若い恒星系である可能性があることを示唆している」と指摘する。
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いて座A*の近くでは、これまで複数の若い恒星が見つかっているが、破壊的な極限重力下でさえも一部の連星系が短期間存続できるという今回新たに得られた知見は、様々な影響をもたらすものだ。論文の筆頭執筆者で、ケルン大の研究者のフロリアン・ペイスカーは「ブラックホールは、これまで考えられていたほど破壊的ではない」と述べている。

惑星の発見

超大質量ブラックホール近傍での観測史上初となる連星系D9の発見は、銀河系中心のブラックホールの近くに惑星が存在する可能性があることを示唆している。「惑星は若い星の周囲に形成される場合が多いため、今回の発見によって惑星の存在を推測することができる」と、ペイスカーは説明している。「銀河系中心部での惑星の発見は時間の問題にすぎないという説は、信憑性が高いと思われる」

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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